2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of Maternity Policies to achieve MDG5: Demedicalization and Positive Birth Experience
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19H01390
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松岡 悦子 奈良女子大学, アジア・ジェンダー文化学研究センター, 協力研究員 (10183948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 晴久 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20713051)
青木 美紗 奈良女子大学, 生活環境科学系, 講師 (50721594)
五味 麻美 川崎市立看護短期大学, その他部局等, 講師 (70510246)
Hanley Sharon 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (80529412)
嶋澤 恭子 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (90381920)
曾 ケイエ 奈良女子大学, アジア・ジェンダー文化学研究センター, 特任助教 (30848552)
阿部 奈緒美 奈良女子大学, アジア・ジェンダー文化学研究センター, 協力研究員 (20848460)
諸 昭喜 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 助教 (80848359)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 出産 / 助産師 / 施設分娩 / MDGs / TBA / 妊産婦死亡率 / マタニティ政策 / 帝王切開 |
Outline of Annual Research Achievements |
バングラデシュにおけるマタニティ政策について、政策担当者と村の女性たちの両方への調査を行った。政策担当者としては、BRAC大学の助産コース、ダッカ大学、ICDDRb、USAIDの研究者から妊産婦死亡率を下げるために取られたいくつかの政策について話を聞いた。 バングラデシュでは、従来TBAによる自宅分娩が中心であったが、MDG5の目標である妊産婦死亡率の低下のために、施設分娩への移行とskilled birth attendant(SBA)による介助がめざされた。施設分娩を促すためには、女性たちに現金を配布する政策(demand side financing)や助産師やFWV(Family Welfare Visitor)の養成が行われた。 また、女性の側への調査としては、マダリプル県ラジョール村を対象地域として、村の女性たち、公立病院の医師、私立病院の医師、TBA、FWV、助産師への聞き取りを行った。それによると、女性たちの多くは自宅でTBAによる介助を希望しているにもかかわらず、結果的に病院で出産することになり、その多くが帝王切開になっていた。その理由として、私立病院が患者を集めるためにブローカーを雇い、妊産婦と接触するTBAやFWV,公立病院の医師に働きかけていることがわかった。TBAは、産婦を私立病院に送ることで、自宅で取り上げるのとほぼ同じ金額を病院からもらっていた。その結果、帝王切開率が急上昇し、女性たちの産後の回復が遅れ、女性の健康が損なわれる結果となっていた。施設分娩が妊産婦死亡率を下げるとは必ずしも証明されていないにもかかわらず、バングラデシュにおいては施設分娩が強力に進められた結果、帝王切開率が増え、女性の健康にとってはマイナスの結果が生じている。 また、新型コロナ感染症が異なる文化に与える影響についてシンポジウムを開いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年には、ダッカ市内とマダリプル県の村落部において聞き取り調査が可能であった。また、コロナが本格化する前の2020年3月前半にも調査を行うことができた。したがって、2019年度については、おおむね順調に研究ができたと言える。 しかし、2020年度以降の現地調査は新型コロナ感染症の影響により不可能となったため、インドネシア、バングラデシュの研究者をズームに招いて、それぞれの文化においてコロナがどのような影響を与えているのか、またとくに母子保健への影響についてシンポジウムを開いた。 さらに、現地の調査助手を雇い、質問紙調査を実施してもらうことで、現地調査の代わりとした。
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Strategy for Future Research Activity |
バングラデシュにおいては、現地での出産をめぐる女性たちの動きと政策の変遷について、文献研究も踏まえて、おおむね理解できるようになった。今後は、インドネシアとラオスとの比較を行い、マタニティ政策がそれぞれの国でどのように異なるのか、またそれらの政策が女性の健康に与える影響についての比較研究を行う予定である。そのためには、新型コロナの影響が収まった段階で分担して、バングラデシュ、インドネシアとラオスで現地調査を行う予定である。
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Research Products
(21 results)