2019 Fiscal Year Annual Research Report
Transformation and practice of everyday life during prehistory of "Yuanzhumin Yundong " (indigenous movement) in Taiwan; Anthropological study through photograph archives
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19H01397
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮岡 真央子 福岡大学, 人文学部, 教授 (70435113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野林 厚志 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (10290925)
松岡 格 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (40598413)
田本 はる菜 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (20823800)
岡田 紅理子 上智大学, アジア文化研究所, 研究員 (70802502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 台湾原住民族 / 「原住民運動」前史 / 生活世界 / 写真資料 / アーカイブズ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は当初の研究計画にしたがい、1)次年度以降に実施する現地調査の準備会合を国内で開催し、全体計画と具体的な研究の進め方の確認をし深化を図った。2)第12回台日原住民族研究論壇(宜蘭市、宜蘭縣史館)にメンバーの大半が参加し、台湾の研究者と情報交換を行った。3)研究代表者・分担者は各自の研究課題に応じた予備調査をそれぞれ行った。4)写真資料アーカイブ構築のための調査を行った。 3について、宮岡は近年の台湾での写真資料の公開・活用状況および20世紀後半の生活改変政策の史資料を調査した。野林は、写真アーカイブズの民族誌研究のための方法論的議論を台湾側の研究者・専門家と行うとともに、調査対象の時代の中心となる1970-80年代の文献資料を渉猟し、時代背景を整理した。松岡は、台湾現地の状況についての情報収集と資料収集を中心とする調査を実施し、台湾における研究集会で関連テーマに関する発表を行い、ブヌン族居住地域で景観に関する調査を行った。田本は、中北部を現地調査し、1970-80年代の漢化・キリスト教化の下での女性の織物実践について、博物館・個人宅での資料調査と聞き取り調査を行った。岡田は、日本植民地時代後に活発化した台湾基督長老教会による原住民族宣教の前史を捉えるため、台湾神学院(台北)において文献調査を行なった。 4について、研究協力者森口恒一は、1972年以降に行った台湾・フィリピン言語調査で記録したアナログ写真約6600枚を、国立民族学博物館「地域研究画像デジタルライブラリ」(DiPLAS)の支援を得て整理し、撮影地点の同定・デジタル化を行った。宮岡は、武蔵大学名誉教授小川正恭氏が1980-90年代に台湾調査で撮影した写真資料の調査を実施した。 2020-21年度は、各自文献調査を進めた。2021年度には、森口による言語調査の音源資料の一部のデジタル化も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、国内研究会合と各自の夏期予備調査をほぼ予定通りに実施し、次年度以降に実施する各自の本調査の計画を立てることが出来た。しかし、当該年度11月に計画していた森口による比較研究のためのフィリピン調査は、同年7月のルソン島北部大地震により中止となり、加えて新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、その後も実施不可能な状態となった。2019年度末に他のメンバーが予定していた第2回台湾予備調査も同様に新型コロナウイルス感染症のため複数名が中止を余儀なくされ、以来現地調査は実施できない状況が続いた。 その代替措置として、2020-2021年度は各自文献調査を行った。また、2021年度には森口が1972年以降に実施してきた台湾・フィリピンでの言語調査の音源資料の一部をデジタル化した。これにより、写真資料とあわせ、多元的なアーカイブ構築への道筋が立てられた。また小川正恭氏撮影・所蔵の写真資料の調査を行い、合わせて別経費によりデジタル化を実施したことで、そのアーカイブ構築の目処が立てられた。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査が再開できる状況となることを期待するが、まだその具体的見通しは立たないため、各自が国内において文献や新聞記事等の資料収集と渉猟を実施し、関連する理論的研究を進める。また、20世紀後半の台湾原住民族の歴史経験については、台湾の歴史学等の分野でも研究が途につき、少なからぬ書籍や論文が刊行されつつある。それらに関する情報収集にもあたる。また、台湾の学術機関等での各種写真アーカイブの構築や写真集出版も行われつつあり、これについても注視して情報収集にあたるとともに、研究資料として使用することを視野に入れる。 今年度デジタル化を実施した写真資料等については、今後研究資料としてメンバーで共有できる形態を整える。
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