2020 Fiscal Year Annual Research Report
Policies on Employment and Workshop for Persons with Disabilities; The Connection between Employment and Welfare
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19H01418
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
長谷川 珠子 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (40614318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 由希子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50547817)
永野 仁美 上智大学, 法学部, 教授 (60554459)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 障害者雇用 / 福祉的就労 / 特例子会社 / 就労継続支援 / 障害者雇用義務制度 / 障害者雇用促進法 / 障害者総合支援法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020(令和2)年度の研究成果のうち最も重要な成果は、長谷川珠子=石﨑由希子=永野仁美=飯田高『現場からみる障害者の雇用と就労-法と実務をつなぐ』(弘文堂、2021年)(以下、『現場からみる本』という)である。同書は、研究代表者および研究分担者に加え、社会調査をご専門とする東京大学の飯田先生の協力を得て完成したものである。同書は、就労能力が一定程度減退した障害者の働く場として整備されている「特例子会社」、「就労継続支援A型事業所」、「就労継続支援B型事業所」に対してアンケート調査とインタビュー調査を行い、その結果を踏まえ、現行の障害者雇用・就労法制の課題を明らかにしたうえで、今後の障害者雇用・就労法制の在り方に関して提言を行ったものである。 この研究成果の意義および重要性は、第1に、障害者雇用・就労に携わる現場の実態を踏まえたものであるという点にある。飯田先生のご参画により、調査の精度は極めて高いものになった。第2に、障害者雇用や就労に関する法制度について十分な知見を有する研究代表者らが、実態調査の結果と法制度の全体像の双方を踏まえて政策提言を行った点にある。本研究の目的の一つは、「障害者雇用の現場を踏まえ、利用価値の高い法制度を提示し、制度導入の実現につなげること」にある。同書によって、現場・実態を踏まえた利用価値の高い法制度の提示ができたと考える。類書は他に見られず、同書は、厚生労働省の政策担当者、障害者雇用に携わる企業や事業所、障害者の就労を支援する機関、および他の研究者らから高い評価を得ている。 このほか、障害者だけでなく高齢者も含めた就労上の課題(法律時報92巻10号)に関する論文等を執筆するなど、広がりをもつ発展的な研究にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。 ただし、コロナ禍のなかで、障害者雇用や就労の現場に伺う機会が大幅に減ってしまっている。インタビュー等は、オンラインでも実施可能であるが、障害者が働く職場の様子は現地を訪問して、見学しなければ分からないことも多く、この点については、感染対策を行いながら、また、訪問先の理解を得て、さらに取り組んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、①障害者雇用の現場を踏まえた利用価値の高い法制度を提示すること、②提示した制度の導入の実現につなげること、③実務に携わる人々に対して新たな法制度を教示すること、④新たな制度の運用に携わることにある。 ①の点については『現場からみる本』により一定程度実現したため、今後は、②③④をさらに進めていく。具体的には、第1に、私たちが同書のなかで提示した将来的な障害者雇用・就労の在り方に対し、障害者雇用に携わる現場の方々がどのような受け止めを持っているのかを調査する。フィードバックを得て、政策提言の改善を図る。第2に、同書では、主に、障害者を働かせる側(企業・事業所)に対する調査にとどまるものであったため、今後、働く側である障害者の意見を聞く機会を設けたいと考えている。これについては障害者団体(たとえば「手をつなぐ育成会連合会」、「日本視覚障害者団体連合」等)を通じて行う予定である。第3に、講演会やシンポジウムへの出席を通し、私たちの研究成果を多くの人に伝え、そこでの質疑応答を踏まえ、より良い制度の提言につなげる。
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Research Products
(16 results)