2019 Fiscal Year Annual Research Report
Law of Employment Equality between Men and Women: A Comparative Study for its Realignment and Vitalization
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19H01419
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中窪 裕也 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (90134436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 晃一 上智大学, 法学部, 教授 (30436498)
橋本 陽子 学習院大学, 法学部, 教授 (00292805)
野田 進 九州大学, 法学研究院, 特任研究員 (90144419)
GONG MIN 久留米大学, 法学部, 教授 (20452807)
両角 道代 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (80234590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 雇用平等 / 性差別 / 均等法 / 男女平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、今日の欧米諸国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン)の男女平等法制の内容を明らかにした上で、日本法の課題を検討することを目的とする。3年計画の1年目に当たる今年度の実績は、以下の3点である。 第1に、各国の法制の内容について、研究分担に従ってそれぞれが行った研究の結果を、3か月に1度の研究会で報告・討論を行い、知見の共有と深化をはかったことである。当初の研究計画で示した4つの柱のうち、②の性差別禁止の基本規定を中心に、①の男女同一賃金も加味しながら研究を行い、その中から、アメリカのようなストレートな性差別禁止モデルが、必ずしも大陸ヨーロッパでは機能せず、フランスの労使自治を介したモデルや、スウェーデンのような両立支援の徹底をはかるモデルなど、特徴的なアプローチが見られることが明らかになった。 第2に、各研究分担者が、男女の雇用平等を取り巻くより広い規範構造について研究を行い、それぞれに論考を発表したことである。研究発表の欄に記載した、橋本の論考(宗教差別)、富永の論考(正規・非正規の格差)、野田の論考(育児責任ゆえの不利益)がこれに当たり、出版時期の関係で記載していないが、他の分担者もそれぞれ近刊の論考を執筆している。 第3に、アメリカに関しては現地調査を行った。雇用差別禁止法の分野の著名な研究者で実務経験も豊富なハワイ大学の教授を訪問し、同教授が2018年に発表さした注目すべき論考を中心に議論して有益な情報を得るとともに、同大学の図書館や現地の連邦および州の政府機関で資料収集を行った。なお、2020年3月下旬にはフランスの現地調査も予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、やむなく中止となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各国の法制の基本について予定どおりに検討が進み、それを踏まえて具体的な運用状況や問題点を探ることが可能となっている。また、各国に関する1年目の研究の成果を、それぞれが発表する準備も進んでいる。フランスの現地調査がやむを得ない事情で流れてしまったのは残念であるが、今後の計画の中で補って行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って研究を深めて行く。特に2年目は、計画の4つの柱のうち、③妊娠・出産の取扱いと、④セクシュアル・ハラスメントを、掘り下げる予定であり、それぞれの国の状況と、それらの共通性と独自の特徴を分析する。 また、1年目の成果を含めて、各担当者がそれぞれに可能な形で論考を発表する。特にアメリカについては、過去50年の連邦最高裁の男女雇用平等判決の展開を活写した書物の翻訳作業を進めており、今年度のうちに刊行まで至る予定である。 現地調査についても、1年目に計画しながら延期せざるを得なかったボルドー大学を中心とするフランスの調査と、あわせてイギリスまたはドイツの調査を実施することとしたい。また、付随的な研究対象としている中国の法制についても、研究協力者の鄒庭雲と連絡を取りながら、現地調査の可能性を含めて検討を進めていく。 ただし、新型コロナウイルスの状況を踏まえながら、実際にいつどのような形で現地調査を行うかを慎重に考慮する必要があろう。また、研究会の開催についても、遠隔会議という形で実施することになるかもしれない。
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Research Products
(6 results)