2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H01422
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
本庄 武 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (60345444)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 有紀 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (00732471)
大谷 彬矩 龍谷大学, その他部局等, 研究員 (00801622)
武内 謙治 九州大学, 法学研究院, 教授 (10325540)
森久 智江 立命館大学, 法学部, 教授 (40507969)
相澤 育郎 立正大学, 法学部, 助教 (90715393)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 再犯防止 / 改善更生 / ソーシャル・インクルージョン / 社会復帰 / 社会防衛 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、第1に、再犯防止の理念についての研究として、政府の犯罪対策閣僚会議等が出している再犯防止に関連する各種文書の検討を行った。また地方自治体が策定している再犯防止推進計画について、地域福祉計画との異同に着目した検討も行った。これらの研究成果は、学会シンポジウムにて発表した。 第2に、再犯防止理念の背景に関して、規律管理社会からリスク管理社会に移行しているという分析について検討を行った。また再犯防止にとって有用と考えられる、デジスタンスの理念を実現するうえでの社会からのサポートの重要性について検討を加えるとともに、RNRモデルに則って実用化されている処遇技法と伝統的な処遇との関係についての研究を進め、顔の見える関係性を重視した地に足の着いた再犯防止を進めることと、再犯防止は究極の目標ではないことを意識することが重要である、との知見を得た。 第3に、これまでの研究の蓄積を踏まえて、行刑、更生保護、少年司法のそれぞれの分野における再犯防止の具体的な実践について検討し、研究論文として成果を公表した。行刑分野では、無期刑において応報的要素の背後に保安的要素が伏在する結果、社会包摂による再犯防止の達成が困難になっていること、行刑において動的保安を採用することが再犯防止に寄与し得ることを、更生保護分野では、保安的スローガンが打ち出される場合でも再犯防止にとって重要なのは伝統的な寄り添い型支援であること、更生保護改革には伝統的な支援を困難にする側面があることを、少年司法分野においては、少年年齢を引き下げたうえで18歳以上に新たな処分を導入する構想は責任原理と保護原理の双方からして問題を孕むことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再犯防止の理念についての多角的分析を進めるとともに、再犯防止理念の具体化としての犯罪者処遇施策のそれぞれについての検討を進め、一部について成果を公表することができたため、おおむね順調に進展していると評価できる。 ただし予定していた国内外での調査については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により実施の目途が立たなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、再犯防止の理念に関する多角的分析、犯防止理念の具体化としての犯罪者処遇施策のそれぞれについて検討を進め、研究成果を論文として公表する。 実態調査については実施の目途が立たないため、研究の比重を理論研究に移さざるを得ない。 今後、犯罪者処遇施策については、法改正が具体化していくため、その検討を重点的に行っていく。
|
Research Products
(10 results)