2019 Fiscal Year Annual Research Report
環境法の実効性確保システムの改革に向けた法執行過程の総合的実証研究
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19H01438
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
北村 喜宣 上智大学, 法学部, 教授 (20214819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 規正 山梨学院大学, 法学部, 教授 (00410382)
神山 智美 富山大学, 学術研究部社会科学系, 准教授 (00611617)
北見 宏介 名城大学, 法学部, 准教授 (10455595)
田中 良弘 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (10766744)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境法 / 水産資源法 / 都市法 / 執行過程 / 実効性確保 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究のスタートとして、各人が過去の研究によって得た知見や成果を共有するとともに、研究の進捗状況を報告し合い、「実効性」概念の内容についても討論をするために、4回の研究会を開催した。 具体的には、2019年5月5日、6月8日、12月14~15日、および2020年3月28~29日の計4回の研究会を実施した。第1回研究会(東京)では、3年間の研究計画全体を確認するとともに、メンバー各人の研究成果を報告し、意見交換を行った。 第2回研究会(東京)では、メンバーが過去に実施実績を有している野生動物の違法取引について講師を招き、法執行の現状や問題点について情報収集と意見交換を行い、知見を深めた。 第3回研究会(富山)では、第2回研究会同様メンバーが過去に実施実績を有している漁業法と密漁の関係について、地域の実情および国際的状況について専門的立場を有する講師を招き、知見を深めた。2日目は四大公害のひとつ、イタイイタイ病について、法執行やその後の訴訟や補償について知識を得た。 第4回研究会(新潟)では、引き続き違法漁業について講師を招いて情報収集及び意見交換によって理解を深めた。同時に、四大公害のひとつである新潟水俣病について長年被害者救済に携わった方を講師としてお招きし、新潟水俣病の発生から被害者救済の経緯や問題点を学び、法の実効性にかかわる様々な社会的影響について確認した。また、年度末の研究会であったため、各メンバーの今年度の成果と来年度以降の研究計画を報告し、確認及び意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初2回開催予定であった研究会を4回開催でき、議論を重ねる機会を多く確保できた。研究メンバー個人においても、それぞれ精力的に研究課題に取り組み、順調に研究業績を残している。 以上が、現在までの進捗状況について「おおむね順調に進展している」とした理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2020年度以降に向けての基礎的作業にあてると予定していたところ、研究メンバーは、それ以上の作業を行い、論文を公刊したり、相当に熟度が高いディスカッションペーパーを執筆したりした。本研究のひとつの目的は、環境法の実効性確保システムの改革に向けて、実証研究を踏まえた提言をすることにある。そこで、2020年度は、メンバーがそれぞれの研究課題に取り組むほか、他のメンバーの業績に対して積極的にコメントをしあうなどして、相互作用による新たな分析視角の発見に努めたい。 2020年度の終盤には、最終年度である2021年度における研究の総仕上げを見すえて、可能であれば一冊の出版物に結実できるような研究全体の構成を模索し、2021年度における各自の研究課題を確定させたい。 なお、本研究は、国内外における環境法執行過程の実証研究をするものであるところ、関係者へのヒアリング調査が不可欠であり、そのための予算も確保している。しかし、COVID19の影響によって、少なくとも2020年度前半においては、対面による実態調査が極めて難しくなっている。電話ヒアリングやアンケート調査に切りかえるとしても、調査対象において、限定された勤務状況のもとでの対応をお願いするため、データ収集には相当の時間を要する可能性も出てきた。この点については、メンバー全員の問題でもあり、Zoomによる打ち合わせなどを的確に行うことにより、打開策を見出していきたい。 2020年度は、一応の研究成果を踏まえて、メンバーが関係研究会において報告をし、その知見をフィードバックすることを計画していた。しかし、そうした研究会の開催が困難になっているため、メンバー間でのメールやZoomを通じたやり取りを緊密にして、所期の目的が達成できるようにしたい。
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Research Products
(21 results)