2020 Fiscal Year Annual Research Report
行政資源配分型独立機関の歴史的変容とその制度構想の総合的研究
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19H01444
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧原 出 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00238891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御厨 貴 東京大学, 先端科学技術研究センター, 名誉教授 (00092338)
林 昌宏 常葉大学, 法学部, 准教授 (00632902)
早川 有紀 関西学院大学, 法学部, 准教授 (20775853)
伊藤 正次 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (40347258)
砂原 庸介 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40549680)
秋吉 貴雄 中央大学, 法学部, 教授 (50332862)
手塚 洋輔 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60376671)
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70313484)
小宮 京 青山学院大学, 文学部, 教授 (80451764)
飯尾 潤 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90241926)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オーラル・ヒストリー / 人事院 / 会計検査院 / 独立機関 / 行政資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は会計検査院の聞き取りとそれに伴う分析を主として行った。そこでは、人材育成のための専門知を執務知識に見いだすか、会計学など社会的に共有しうる技術に見いだすかの選択があり、また評価手法として合法性・能率性・有効性などとは別に政策評価などの新しい手法を導入するかが問題となっている。またその独立性については、本来業務の公正性を担保する独立性は当然必要であるにしても、政府全体の行政資源配分とりわけ資金面では政府との間での非公式調整は不可避であることが判明した。独立機関が政府全体の行政資源の監督を業務としていながら、それ自体の運用のための行政資源については政府に依存するケースがある。したがって、行政資源配分の様式を政府全体のレベルと、個々の独立機関の内部管理のレベルとの重層性のもとでとらえる必要が出てきている。 さらに試行的に行った人事院幹部へのオーラル・ヒストリーから、いわゆるキャリア・システムと距離を置く人事院の人事行政の特性が引き出され、また行政資源としての権限の配分において、国家公務員制度の制度設計の際に政府の人事行政機関は十全な設計ができないため、人事院の専門知を動員せざるを得ず、そこに人事院の独立性との関係が問われることが判明した。こうした性格についてさらなる人事院の分析を進めながら、第1に日本の独立機関一般について理論化を図ることが今後の課題である。第2に、これを他国を対象とした分析と比較しながら、高次の一般化と理論化を図ることがさらなる課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、オーラル・ヒストリーの実施が制限されたものの、1980年代の改革とその前後の会計検査院について公開資料を収集するとともに、前年度から引き続いての院内業務経験者への聞き取りを行い、延長した年度において院長経験者の研究報告とディスカッションにより、独立機関としての役割について重層的に情報を得ることができた。並行して、他の独立機関としての人事院について幹部経験者への聞き取りの準備を進め、試行的にオーラル・ヒストリーを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究は、会計検査院研究を中心に調査を行ったが、令和4年度は人事院のオーラル・ヒストリーを中心に、これを会計検査院と比較する作業を進めた。加えて、独立機関の最高裁判所について歴史研究を進め、全体を統合する理論枠組みを検討する。また全体総括の研究会を開催して、これまでの研究を整理し、今後の研究課題を抽出する。
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Research Products
(6 results)