2019 Fiscal Year Annual Research Report
Causes and Consequences of Election Timing: Comparative Analysis of Autocracies and Democracies
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19H01447
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
矢内 勇生 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 講師 (50580693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東島 雅昌 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (10756349)
清水 直樹 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20508725)
鷲田 任邦 東洋大学, 法学部, 准教授 (50744893)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 選挙タイミング / 選挙不正 / 選挙操作 / 選挙暴力 / 政治体制 / 執政制度 / 比較政治学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、選挙タイミングの決定要因とその帰結について、民主制だけでなく、独裁制も対象にして分析する。民主制と独裁制の違いを超えた、選挙タイミングの重要性に関する一般的な理解を深め、選挙タイミング変更を選挙操作の一手段と捉えることで、選挙不正研究の発展にも貢献することを目的とする。 初年度はまず、国家間の比較分析を中心とする統計的因果推論を行うためのデータセットの整備を行った。選挙タイミングの変更を正確に捉えるために、選挙が元々予定されていた日付と実際に選挙が行われた日付を、第二次世界大戦後の期間についてできるだけ包括的に収集した。また、選挙タイミングと関連しそうな変数についても収集・整理した。選挙が競争的ではない独裁制国家に関しても、議会内での各会派の議席数などのデータを集めた。 次に、収集したデータを用いて選挙タイミングの決定要因に関する研究を進めた。これまでの選挙タイミング研究では、定義上任期が固定されている大統領制のタイミングは対象外とされてきたが、独裁制まで分析対象を拡大すると、大統領制でも選挙タイミングの変更が珍しくないことが明らかになった。また、先行研究では政府が選挙に勝ちやすい好況期に選挙が起こりやすいのではないかと考えられてきたが、独裁制・大統領制まで含めて分析すると、危機に際してあえて選挙を実施することで政権を維持しようとする傾向も確認された。 初年度の研究成果は、APSA, ECPR, MPSA, SEASIA, 日本選挙学会などの国内外の学会や研究会等で発表した。これらの研究会で得られたコメントを踏まえて改訂稿を作り、2020年中に査読付国際誌への掲載を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの修正と整備はほぼ予定どおりに進んでいる。理論・分析枠組みの構築の進捗も予定どおりである。事例研究についても、先進民主国家担当班、新興民主国家担当班、独裁国家担当班のそれぞれが順調に分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も理論構築とデータ収集の作業を引き続き行う。初年度は選挙タイミングの決定要因についての理論構築を中心に行ったが、今後は選挙タイミングの変更がどのような政治的帰結をもたらすかについての検討を進める。選挙タイミングが生み出すマクロな政治的帰結については、2020年度中に明らかにすることを目指す。 データについては、選挙の実施日や各政党の得票率・議席率等のデータはほぼ揃ったので、今後は世論調査データの収集・整備を進める。既存の世論調査データを整理して比較可能にするだけでなく、本プロジェクトでも独自の調査を実施する。有権者が選挙タイミングの変更をどのように受け止めているかを明らかにするとともに、選挙タイミングの変更が政府の得票・議席の増加以外にどのような効果をもつかを検証する。COVID-19の影響で現地調査が難しくなることが予想されるので、オンラインでのサーベイなどの方法で必要なデータが収集可能かどうか検討しながら進める。 これらの作業と並行して、先進民主国家、新興民主国家、独裁国家の3つの班が各自の事例研究を進める。理論や統計分析によって示される関係が、実際の政治現象をどの程度説明できるかどうか確かめる。また、理論や統計分析の想定外となる事象を詳細に検討し、さらなる理論の精緻化に役立てる。 最後に、理論研究を中心とする中間的な分析結果を国内外の学会・研究会で報告する。特に、日本政治学会の研究大会には、本プロジェクトの企画パネル「選挙タイミングの政治的原因と帰結」が採択されている。中間的な成果を積極的に発信することで他の研究者からフィードバックを受け、研究を洗練させる。さらに、2年目となる2020年度から査読付き国際誌への論文投稿を始める。
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Research Products
(5 results)