2020 Fiscal Year Annual Research Report
Legacy Effects of the 2020 Tokyo Olympics on Civic Engagement
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19H01452
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠原 舟吾 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (00822751)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オリンピック / 市民社会 / コロナ感染 / 行政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際オリンピック委員会が「オリンピック・レガシー」と謳うオリンピック開催都市へのプラス効果が、東京オリンピック(Tokyo 2020)においても発揮されるか分析することにあった。しかしながら、コロナ感染拡大に伴うTokyo 2020開催延期により、2020年度実施予定だったインタビューや参与観察が実施できなかったため、一部研究費を2021年度に繰り越した。 2021年度にオリンピックは開催されたものの、無観客開催となり、当初予定していたボランティア及び観光客増加に伴う効果は限定的となった。また、開催期間中にコロナ感染が急拡大し、対象者と現場で接触する定性的分析が実施できなかった。コロナ感染拡大に伴うマイナス効果により、オリンピックのプラス効果を厳密に抽出する当初の実験デザインの実施は難しくなった。従って、定性分析に代わり、コロナ禍におけるオリンピックへの関心及び経済・社会活動の変化に関するオンライン・パネル調査を追加で実施した。コロナ感染の効果も加味したうえで、無観客オリンピックの限定的効果を分析する研究デザインに変更した。 追加調査は、2019年度より実施している行政への参加・態度に関する本調査と同じ対象に向けて実施され、東京・名古屋・大阪3都市在住の1608名から回答を得た。単純集計からは、コロナ禍における社会活動、労働、育児などへの変化が観察された。同様の調査を2022年度も継続実施することにより、コロナ禍における市民社会の実態を加味したうえで、オリンピックの意義を考察することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のオリンピック開催状況を見極め、既存の実験デザインを変更し、円滑にオンライン追加調査を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度繰り越し額を用いて実施したオンライン追加調査は、2022年も引き続き実施する。コロナ感染は現在も収束しておらず、複数年に亘るコロナ禍の生活実態を把握するため、感染状況を注視したうえで研究計画を実施していく。2022年度に4年に亘る行政への参加・評価に関する本調査及び2年に亘るコロナ禍の生活変化に関する調査データを収集し終えるため、データ分析及び論文執筆の準備も進めていく。
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