2019 Fiscal Year Annual Research Report
Peacebuilding and Political Parties
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19H01460
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
東 大作 上智大学, グローバル教育センター, 教授 (90608168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 平和構築 / 和平調停 / 紛争解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、2016年に採択された「平和構築と政治的排除~なぜ過ちは繰り返されるのか」(科研基盤B)を使い、南スーダン、シリア、イラク、東ティモールなどの現地調査を続けてきた。そこで見えてきたのは、政治的排除を克服し、包摂的政治プロセスを実現しつつ紛争後の国家再建(平和構築)を行うためには、結局、武装勢力を政党に転換させ、選挙を通じた平和的手段で政権を選択できるようにするしかないと、和平仲介者が認識している現実だった(南スーダンでは大統領派、副大統領派双方の政党が、ゲリラ集団の行動様式から脱却できず内戦を繰り返している。またアフガン政府は、タリバンに対し政党に転換し選挙に参加するよう呼びかけており、その対応が焦点)。内戦を続けてきた武装勢力が政党に転換を遂げ、持続的平和を達成するにはどうすればよいのか。本研究「平和構築と政党~反政府武装勢力の政党への転換は可能か」は、この平和構築の中核的課題の解明に取り組む。具体的には、本テーマを探るために、南スーダン、アフガニスタン、コロンビア、ミンダナオなどで現地調査を実施したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年8月には、韓国の外交研究院で招聘講演を行い、自分の調査・研究について広く共有すると同時に、日本と韓国が、世界各地の平和構築などについてどのような協力が可能かも、先方の教授陣と突っ込んで議論を行った。また2019年9月には、JICA広島事務所が実施する、アフガン行政官を集めた平和研修に招かれ、一日かけて、アフガンの和平交渉の最新情勢とその課題について講演と議論を行い、知見を深めた。また、これまでの調査と研究の成果をまとめるための作業を行い、2020年1月に中公新書より「内戦と和平~現代戦争をどう終わらせるか」を出版することができた。本書については、読売新聞で、本の内容も織り込んだB4サイズのインタビュー記事が掲載され、また毎日新聞、読売新聞、日経新聞、東京新聞などで書評が掲載された。さらに、共同通信が配信した栗本英世大阪大学教授による書評は、全国約30の地方紙で掲載されるなど、極めて高い評価を得た。その後、2020年2月には、アラブ首長国連邦、ヨルダン、サウジアラビアを科研費を利用して歴訪し、それぞれの場所で講演を行いながら、シリアやイエメンなど、中東地域の紛争解決について調査を実施した。また、2020年3月には、2週間ニューヨークに滞在して、国連本部で平和構築に関するシンポジウムで講演を行いつつ、アジア中東担当、アフリカ担当、ヨーロッパ・南アメリカ担当国連事務次長補、日本の国連大使など国連幹部と面会を行い、今後の平和構築の調査について説明すると同時に、調査への協力を取り付けることができた。2020年3月19日に帰国したが、NYでコロナによる緊急事態宣言が出る直前であり、調査を完遂できたことは極めて幸運でもあった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの影響で海外調査については不透明であり、今後は、オンラインを使った国際シンポジウムを実施したり、海外の文献を読み込み、英語の本を出すことを次の目標としている。また海外調査が可能になり次第、現地調査を再開したいと考えている。既に、シリア、イエメン、コロンビア、アフガニスタン、南スーダン等の調査については、それぞれの担当をする国連事務次長補(ASG)から協力の約束を得ており、コロナの影響が収まり、海外調査が可能になれば、すぐに再開できる状況にある。
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Research Products
(7 results)