2019 Fiscal Year Annual Research Report
年金加入記録の転記データ等を利用した年金問題の計量分析
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19H01496
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Research Institution | Research Institute for Policies on Pension & Aging |
Principal Investigator |
高山 憲之 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構, 研究部, 理事長 (30102940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 誠一 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構, 研究部, 客員研究員 (30526380)
小塩 隆士 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50268132)
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50467263)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 年金 / パネルデータ / 雇用 / 貯蓄 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果の主要内容は以下の4つである。 1.公的年金の財政面における長期的な持続可能性は、今後における人口動態、実質経済成長率の高低、現行制度を不変のまま維持していくのか否か、そして、個人の選択として何歳まで就業し、老齢年金給付を何歳から受給しはじめるのか、の4つに大きく左右される。とくに、日本では、65歳を超えても就労しつづけることが、この問題を解決するための切り札となっている。 2. 日本男性の雇用者率は65歳を境に落ち込みが著しい。在職老齢年金制度による年金給付の支給停止部分が繰り下げの対象になっていないこと、失業保険給付 が65歳前後で変わり、給付額の低下分が少なくないこと、などが、その主な原因となっている. 3. 70歳現役社会を実現するためには、65歳時点で発生している雇用阻害効果を除去する必要がある。たとえば、65歳以降の在職年金制度を廃止すること、65歳 以前の失業保険制度は65歳以降も内容を変えずに維持すること、が少なくとも求められている。 4.2019(令和元)年5月に日本の金融庁が提起した老後資金2000万円不足問題は提起直後に一大騒動に発展したが、問題の取り上げ方に配慮の行き届かない面がいくつかあった。たとえば、統計調査の読み方が強引であったこと、退職一時金や企業年金を含めると不足額は2000万円を大幅に下回ること、リタイア後の無職期間が長すぎること、公的年金の将来について現行制度が不変のまま維持されると想定していること、ライフプラン次第で老後のマネープランも大きく変わることを軽視していること、等。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に遅れが生じたが、繰越金制度を活用することにより、当初、計画した研究項目については、おおむねそのすべてを実施し、完了させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、当初の研究計画に沿って研究を進める方針に変わりはない。
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