2019 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the dynamical instability of financial markets using network analysis
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19H01506
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 照義 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (10387607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近江 崇宏 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (90726134)
翁長 朝功 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (90823922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金融市場 / 動的不安定性 / システミック・リスク / 銀行間取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1:金融市場における銀行とその保有資産によって形成されるリスクのネットワーク構造をモデル化し、そこで発生するカスケードに関するシミュレーション結果を理論で近似する研究を行っている。ここで言うカスケードとは、銀行破綻など外性的な要因が引き金となり、資産価格の下落が連鎖する状況である。これまでの研究と異なり、資産価格は連続的な状態(価格)を取るため、理論的に表現するのが難しい。そこで本研究では様々な近似手法を応用し、理論の精度を上げることに注力している。 研究2:金融市場のネットワークと社会ネットワークに見出される共通点として、ネットワークの枝数が頂点の数に対してある種のスケーリング則に従うことを発見した。そこでこれらのスケールングを説明できるようなモデルを組み、様々なネットワークにおいてスケーリングを生じさせている要因を同定し、パラメータ推定する方法を開発した。その結果、システムの内部的に生じている日中リズムが原因の場や、外部的な頂点の増減が原因となる場合を判定することができた。 研究3:銀行間市場に関するこれまでの研究では主に日次頻度や月次などで解析されてきたが、日中のネットワーク形成パターンに着目し、システミックリスクがどのように推移するのかを分析している。それによると、日中取引パターンは過去10数年にわたってかなり頑健で、システミックリスクの日中推移パターンも同様にあまり変動しないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの個別プロジェクトについて並行して進めることができている。中にはまだ超えるべき技術的な壁がある研究もあるが、その他については概ね予定通りの進捗であったり、予定外に良い結果が得られているものもある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、個別の研究プロジェクトを複数並行して進めていく。新型コロナの影響で対面式の打ち合わせが難しくなっているが、オンライン打ち合わせを増やすなどして対処していく。
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