2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Technology Transfer at Early Stage of Industrialization: Experience of Cotton Spinning Industry in Meiji Japan
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19H01511
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
阿部 武司 国士舘大学, 政経学部, 教授 (10151101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 恭平 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10509847)
結城 武延 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80613679)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒック・ハーグリーブズ / プラット・ブラザーズ / 石河正龍 / 山辺丈夫 / 綿紡績業 / 技術移転 / イギリス / 紡績聯合会 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 年度内4回開催予定の研究会は東京で全て対面で行い、年末には臨時の研究会も開催した。研究会を通じて国内外にある資料に関する情報を共有でき、また後述の海外出張の計画も順調に進めることができた。 2 研究代表者阿部と研究協力者の玉川および平井によるイギリスへの資料調査は、2019(令和元)年11月25日から12月3日まで無事に実施でき、ボルトン市の市立図書館において同館所蔵のヒックハーグリブズ文書中の、明治期日本の紡績会社の工場設計図多数を閲覧でき、そのうち大阪紡績会社(現・東洋紡)の図面を中心にデジタルカメラ撮影を行えた。この出張時にはDavid Jeremy、Richard Byrom、Roger Holden, Leslie Hannaといった経営史や建築史の現地研究者とも対面または電子メールで交流を深めることができた。この資料調査により、ボイラーやエンジンの製造で知られるヒックハーグリーブズ社が、動力配置の関係から工場設計に決定的な力を持っており、また、同じボルトン市に存在した建築家テンパリーを日本側におそらく紹介して、彼が工場建物の設計図面を引いていたという仮説を得ることができた。 3 引き続き2020(令和2)年3月上旬に研究分担者の平野と結城がイギリスに出張し、プレストン市のランカシャー・アーカイブズでプラット社文書の閲覧・複写を実施することを主な目的としていたが、新型コロナウィルスによる危険が急激に高まったため、この計画は中止せざるをえなかった。この点はまったくの想定外であり、その結果、今年度の研究計画の一部に遅れが生じることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1 2020(令和2)年度以降にもオンラインのZOOM会議を実施し、メンバー間での研究交流は絶やさないように努めている。 2 2019年末に幸いにも渡英を実施できた阿部・平井・玉川は研究成果を、2020年9月に開催予定であった産業技術史学会の講演に応募したところ、受理された。コロナ禍のためそれは中止となったが、講演予稿集には3人の連名論文を発表した。その後2021年3月までには、同論文も含めて、今回のプロジェクトの発足以前に研究会メンバーが公表した日本語論文2編も含む計3編の日本語論文を、日本在住のプロの翻訳家Thomas Cain氏に委託して英訳してもらい、2021年度にはそれを、研究分担者の結城が所属する東北大学大学院経済学研究科が刊行するdiscussion paperの1冊として、公開する予定である。 3 しかしながら、研究の主目的であるイギリスおよび日本での資料調査が2020年2月以降、新型コロナウィルスの蔓延により、海外出張はやむをえないにしても国内出張までまったく進められていないのが現状であり、2020年度には、研究計画に大幅な遅れが生じることは確実である。遺憾ながら、研究は停滞してしまっていると言わざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
1 本研究の本来の柱であるイギリスでの資料調査は、日本でワクチン接種が行き渡り、イギリス渡航・滞在の安全性が確認されたのち一日も早く再開する予定である。 2 研究のもう1つの柱である、国内での資料調査も、令和元年2月以降、実際には不可能な状況が続いている。これに対しては、研究代表者と研究分担者が協力して、図書館等の資料保存機関に資料の確認とその複写の送付を依頼する等の措置を実現して、進めていきたい。
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Research Products
(2 results)