2020 Fiscal Year Annual Research Report
Multiplex paymeny systems and the evolution of central banking
Project/Area Number |
19H01513
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西村 雄志 関西大学, 経済学部, 教授 (10412420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 亮太 立命館大学, 経営学部, 教授 (00363416)
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
杉原 薫 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任教授 (60117950)
加藤 慶一郎 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (60267862)
鎮目 雅人 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80432558)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 決済システム / 中央銀行制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新型コロナの感染状況が著しく悪化したこともあり、研究会を開催して互いに議論を深めつつ研究水準を向上する作業は行えなかった。そのため研究分担者と研究協力者は各々の研究テーマに対して各自で一次資料を分析しつつ研究を深める作業に専念した。 本科研の研究テーマである決済システムと中央銀行の関係性については、これまでのイングランド銀行研究を中心として、中央銀行制度の導入によって決済システムの統合と効率化が進展し、近代世界経済の発展に貢献する銀行業が成立したと考えられてきていた。しかしながら、世界各地の事例を見てみた場合、中央銀行制度の導入された地域が必ずしも近代世界経済の発展に参画出来なかった訳ではなく、むしろ中央銀行制度が導入されていない地域でも世界経済のなかで大きな役割を担っていた事例も見て取れた。加えて中央銀行制度に関してみた場合も、それらはすべて同じ一元的な中央銀行制度というかたちで導入されたものではなく、地域や国によって大きな差異が存在していた。このような地域によって異なる中央銀行のかたちはどのようにして形成されていったのか、今年度は研究分担者が各自の担当する地域で見直し、その特徴を決済の観点から析出することに努めた。その結果として、中央銀行制度が導入されたことで地域の決済が効率化されていくのではなく、むしろ現地の決済のかたちが中央銀行の役割を規定することの方が大きいのではないかと考えられるようになった。 上記のように各研究分担者と研究協力者が各々の地域で一次資料の分析を通じて研究を重ねた結果、中央銀行制度が現地経済の決済の効率化を促し、様々な経済活動における取引コストの低減させたのではなく、むしろ地域の決済システムの実情に合わせた役割を付与されて成立していたと考える本プロジェクトの方向性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナの感染状況が日々変化し、また対面式で議論する機会が設けられなかったこともあり、各研究分担者と研究協力者が各々の分野の研究テーマについて、一次資料の分析と先行研究の再検討を軸に取り組んだ。その結果、各々の研究テーマに対する理解を例年以上に深めることが出来たと考えるが、本プロジェクトの研究目的である決済システムと中央銀行制度の関係性に関する国際比較に関しては、研究会が開催出来なかったこともあり、十分に満足いくものではなかった。その点で研究自体は「やや遅れている」と考えている。しかしながら、メールを介して、互いの研究内容について、関係ありそうな研究分担者と研究協力者が自発的に質問やコメントをし合っており、相互の理解については若干ではあるものの、進んでいると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究会を開催出来る様になるまでは、各々の研究内容の充実に努め、疑問点については、可能な限りメール等で質問やコメントをし合い、本プロジェクトの研究目的を達成するために努めていきたいと考えている。オンライン形式で研究会を開催する方法も模索しつつも、可能な限り対面式で行いたいと考えている。議論を活発に行うためには、同じ空間で一緒に議論することが最も最善で効率的と思われるので、出来得る限りは対面式開催を模索したいと考える。加えて、最終的には英語の論文集で成果を発表したいと考えているので、それに向けた草稿の執筆も進めていきたいと考えている。
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