2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H01518
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清水 洋 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90530080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生稲 史彦 中央大学, 戦略経営研究科, 教授 (10377046)
金 東勲 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 講師 (10823403)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イノベーション / 経営資源の流動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、ヒト・モノ・カネといった経営資源の流動性がイノベーションの生成のパターンにどのような影響を与えるかを分析することを目的としている。経営資源の流動性が高まれば、社会的には経営資源の配分が効率的になされ、イノベーションにとって好ましい効果があると一般的に考えられている。しかしながら、本当に経営資源の流動性の程度を上げていけば、イノベーションの生成につながるのだろうか。本研究はこれに対して、経営資源の流動性がイノベーションにもたらす影響を、より多元的にとらえることを目的としている。 2021年度は、2020年度に構築した経営資源の流動性を分析するためのデータベースを使って分析を進めた。具体的には、日米の上場企業の収益性の自己回帰性を分析するための財務情報とそれと組み合わせて研究開発の流動性を測るために構築した特許のデータベースを使って分析を行った。また、2021年度に国際学術誌へ投降した論文が戻ってきたため、その改定を進めている。さらに、ゲーム産業を分析対象として経営資源の流動性がどのように新産業の生成に寄与してきたのかについての中間的な成果をディスカッション・ペーパーとして発表した。 2021年度は新型コロナウィルス感染症により、共同研究についての議論を対面で行うことはできなかった。オンラインでの打ち合わせは行ってきたものの、まだそれぞれの研究をすり合わせ切れていない側面はある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度から2021年度にかけてデータベースの構築はほぼ完了してた。今後、細かな修正などが発生する可能性はあるが、このデータベースをもとに分析を進めていくことができる。また、2020年度に投稿していた論文の改定も予定通り進んでおり、2022年度の7月には再投稿できる予定である。また、ハグレー図書館での資料収集も進み、ケーススタディを通じた経営資源の流動性の高まりの分析の準備もできている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、研究は大きく次の2つの点に注力していく。第1の点は、経営資源の流動性の高まりとイノベーションの実証分析である。これまでに構築したデータベースをもとに、利益の自己回帰性の程度の時系列の変化の分析や研究開発の流動性の程度などを実証的に分析する。その中間的な成果を7月に開催が予定されている国際シュムペーター学会で報告予定である。そこでフィードバックを得て、それを反映させ、2022年度の12月までには国際ジャーナルに投稿する計画である。第2の点は、経営資源の流動性の変化とイノベーションや新産業の生成についての質的なケーススタディである。ゲーム産業や映画産業などクリエイティブな産業をケースに歴史的に分析を行っていく。
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