2019 Fiscal Year Annual Research Report
Open innovation and Utilization of Start-up Ecosystem by Existing Firms
Project/Area Number |
19H01522
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
椙山 泰生 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (70323467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 兼充 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 准教授 (60348852)
長内 厚 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (70452505)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | オープン・イノベーション / 起業エコシステム / 定性研究 / 制度ロジックス / 組織学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究では,概念や理論の生成を目的として,主にインタビュー調査を主たるデータ収集の方法とした質的研究を実施するが,コロナの影響を考え,定量研究を並行して実施する方向で方針を修正している。 初年度は国内の起業エコシステムの構成者へのインタビュー調査から始めた。より具体的には,オープン・イノベーションを目的として,起業エコシステムの構成者と協力関係を構築している大企業の管理者や担当者,および内外の起業エコシステムの構成者,すなわち起業家,ベンチャー・キャピタリストや,アクセラレーター,法律家,会計士,大学,インキュベーション・プログラムなどに対して,インタビュー調査を実施した。 比較調査の過程で理論的サンプリングについては意識し,制度的複雑性が観察される事例と両立可能性が高い事例の比較や,異なった特徴を持つエコシステム間の比較,あるいは 起業の制度化の影響を受けたアクセラレーター活動への取り組みの有無の比較などをしながら,概念化をすすめている。 研究成果を概念化し,学会等で報告していく際には,単に既存企業が どのように「効果的に」オープン・イノベーションを実現しているのかという問いを越えて,各プレイヤーの学習や制度ロジックについて記述し,それらの行為の相互作用がもたらすダイナミズムについての解釈や理解を研究としてまとめている。データ収集を基に,初年度は起業家側からみたオープンイノベーションについて,組織学会で学会報告を実施し,2年度にも複数の報告を予定している。 海外のインタビュー調査はある進めていったが,コロナの影響で,3月に海外渡航を見合わせたため,国内インタビューと,定量研究の遂行準備に切り替えて研究を進めている。今年度は,国内のスタートアップのデータベースと契約し,定性,定量の両面から研究に必要な情報を収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は国内の起業エコシステムの構成者へのインタビュー調査から始めた。より具体的には,オープン・イノベーションを目的として,起業エコシステムの構成者と協力関係を構築している大企業の管理者や担当者,および内外の起業エコシステムの構成者,すなわち起業家,ベンチャー・キャピタリストや,アクセラレーター,法律家,会計士,大学,インキュベーション・プログラムなどに対して,インタビュー調査を実施した。 収集したデータをもとに,単に既存企業が どのように「効果的に」オープン・イノベーションを実現しているのかという問いを越えて,各プレイヤーの学習や制度ロジックについて記述し,それらの行為の相互作用がもたらすダイナミズムについての解釈や理解を研究としてまとめている。最初の起業家側から見たオープン・イノベーションについての研究報告を,組織学会にて実施している。また,国内のスタートアップに関するデータベースと契約し,定性的な情報を収集しているほか,コーディングして定量的な分析の準備も進めてきている。 一方,海外に関するデータ収集は,コロナの問題もあったため,進んでいないところがある。研究代表者がシリコンバレーでインタビュー調査を実施したほか,分担者も収集はしているが,当初予定は不十分であった。定量研究の可能性を探求する方向に切り替えて進めてきている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も,インタビュー調査を進めていくが,コロナの影響で,インタビューがオンライン化していくことが増えることが考えられ,対面の時に比べると,オープンなインタビューの質が下がることが懸念される。また,海外については,オンラインでは十分インタビューの機会を得られないこともある。 そこで,この研究では,インタビューのオンライン化へ対応するための機材を購入するほか,オンラインイベントなどに参加して,インタビューを引き受けていただくためのラポールを構築する努力を進めるほか,データベースと契約し,より情報武装した状態で,インタビューに臨むなどの対策を取る方針である。 加えて,契約したデータベースからは,データをダウンロードしてコーディングを進め,定量的な論文を執筆する方向も検討している。それによって,オープン・イノベーションにおける制度ロジックスの影響について,より多面的に分析することを目指したい。
|
Research Products
(2 results)