2019 Fiscal Year Annual Research Report
企業不祥事防止のマネジメント-風通しの良い組織風土の解明-
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19H01531
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
出見世 信之 明治大学, 商学部, 専任教授 (60248961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 嚴也 関東学院大学, 経営学部, 教授 (60288347)
谷口 勇仁 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (60313970)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 企業不祥事 / 風通しの良い組織風土 / コンプライアンス / 内部通報制度 / 企業倫理 / 組織文化 / 企業の社会的責任 / 日本型経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業不祥事を防止するための「企業不祥事防止のマネジメント」について、日本企業を対象とした詳細な定性的調査に基づき、実証的に解明しようとするものである。その際、実務家の間で企業不祥事防止のキーワードとなっている「風通しの良い組織風土(従業員の倫理的問題に対する開示・指摘行動を促進する風土)」に注目し、この風土の構成要素と先行条件、さらには企業不祥事との因果関係を検討することにより、企業不祥事防止のマネジメントへの提言を試みる。2019年度においては、「風通しの良い組織風土」に関する理論的な分析枠組を構築するための活動を行った。具体的には、4月より、企業不祥事、組織風土、コンプライアンス、企業倫理、企業の社会的責任、SDGsなどに関する先行研究、企業のサステナビリティ報告書やCSR報告書などの1次資料を渉猟した。8月には、ボストンで開催された米国倫理学会、米国経営学会に参加し、参加者と意見交換を行い、「風通しの良さ」という言葉は英語では容易に表現できない日本的な言葉であることなどを確認した。また、ボストン滞在中、今後の研究の進め方や日程について確認した。また、9月には、協力企業の本社を訪問し、「風通しの良い職場」に関する意見交換を行い、「風通しの良い職場」は、普通の会話ができる職場、ネガティブな情報が伝わる職場、仲が良い職場、仕事をするための情報が共有されている職場などについて議論した。これにより、本研究が当初、「風通しの良い職場」と想定していた、「従業員が抱えるコンプライア ンス上の問題の開示(報告)」と「従業員が抱える コンプライアンス上の問題の指摘」をその具体的内容とすることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画においては、定量的分析を行うことを想定していたが、交付された研究費の金額が当初の想定に満たなかったことから、交付時において定性的分析に絞った形で研究計画を変更したことが大きな理由である。定性的分析を実施するに当たり、徹底的なインタビュー調査を行う予定であるが、当初予定していた企業からも協力の確約をいただくことができ、実際に本社の責任者へのインタビューを実施できたからである。関連する先行研究、一次資料についても、順調に入手でき、渉猟を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
学会への参加、訪問調査を通じて、研究者や実務家との意見交換を引き続き行い、2019年度に確認した分析枠組の精緻化を図る。その後、協力企業の本社・営業拠点・製造拠点・研究所等おいて、「従業員が抱えるコンプライア ンス上の問題の開示(報告)」と「従業員が抱える コンプライアンス上の問題の指摘」という、風通しの良い職場の具体的内容についてインタビュー調査を行う。一方で、関連する先行研究、一次資料についても、引き続き渉猟し、風通しの良い組織風土が不祥事防止につながるプロセスに関する仮説命題を導出し精緻化を図る。ただし、COVI D-19の感染拡大に伴い、インタビュー調査、研究合宿の実施、学会への参加が困難になった場合には、全員で「風通しの良い組織 風土」に関する関連研究・先行研究のサーベイ・整理をもとにした分析枠組の精緻化を行い、迅速にインタビュー調査の結果を分析できる準備 体制を整える。
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