2019 Fiscal Year Annual Research Report
味の知覚に対する相互作用のモデル化と感性を考慮した推薦システムの構築
Project/Area Number |
19H01542
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
中原 孝信 専修大学, 商学部, 准教授 (60553089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大黒 亜美 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 助教 (20634497)
松下 光司 中央大学, 戦略経営研究科, 教授 (40329008)
今岡 進 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60145795)
羽室 行信 関西学院大学, 経営戦略研究科, 准教授 (90268235)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感性マーケティング / 味覚 / 美味しさ / 抗がん作用 / コーヒー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、味覚を対象にして複合的な感覚器による相互作用を解明するために、コーヒーの持つ化学成分の特性と味覚との相互関連性を定量的に分析し、モデル化することを目的に研究を行っている。特に、コーヒーの飲用調査として消費者の普段の飲用状況を考慮した継続的なアンケート調査の実施と、味覚センサーやクロマトグラフィーなどの測定機器を利用した化学的分析を行い、味覚に対する消費者の評価モデルを再構成することが特徴である。
一年目は、主にコーヒーの持つ化学的特性の解明に焦点を当てた研究を実施しており、味覚センサーを利用した五味に基づく測定と、液体クロマトグラフィーを利用したサンプルの測定を実施した。また合わせて飲用調査を実施しており、測定したコーヒーと同じコーヒーを被験者に提供し、コーヒーの美味しさに関するアンケート調査を実施した。初年度は、約60サンプルのコーヒーの測定結果と約100名のアンケート結果を得た。得られたコーヒーサンプルの測定結果と、アンケート調査による味の評価との関係を分析し、コーヒーの満足 度が低いときには、雑味がある、水っぽい、単調なという言葉が選択されている。一方でシャープな, バランスの良い、奥行きがあるなどが選択されたときはコーヒーの満足度が上がっていた。これらの結果については、OR学会で報告を行った。
コーヒーの抗がん作用の研究についてはカフェインに次いで多量に含まれるクロロゲン酸(CGA)についての効果について検討した。CGAはヒト培養細胞を用いた系で、酸化ストレス抑制因子であるNrf2を顕著に誘導し、ヘムオキシゲナーゼなどの抗酸化因子の増加をもたらした。一方、寿命の検出に利用されるモデル生物線虫の培養系にCGAを添加すると、10%ほどの寿命延長効果が見られた。このメカニズムについては現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、主にコーヒーの持つ化学的特性の解明を目的に研究をしており、コーヒーサンプルの収集と、アンケート調査に基づくコーヒーの飲用調査を実施した。そして、想定していた数のコーヒーサンプルが収集できている。また、コーヒーの測定に加えて、コーヒー特性と美味しさとの関係を分析することができた。抗がん作用の研究についてもクロロゲン酸の効果に関する実験も進めていることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きコーヒーサンプルの取得と飲用調査を続けることで対象サンプルを増やしていく予定である。更に、コーヒーの香り成分分析のために、ガスクロマトグラフィーを購入し、香り成分の分析を実施していく。美味しさは味覚と嗅覚との相互作用によって影響を受けることから、ガスクロマトグラフィーによる香り成分に関するデータを取得することによって、これらの影響を調査することができると考えられる。
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Research Products
(18 results)