2020 Fiscal Year Annual Research Report
地理的表示(GI)を活用したSDGsに寄与する農業と農村振興に関する日欧比較研究
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19H01544
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
木村 純子 法政大学, 経営学部, 教授 (00342204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陣内 秀信 法政大学, 江戸東京研究センター, 研究員 (40134481)
須田 文明 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (70356327)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | テリトーリオ / 都市と農村の交流 / 地理的表示保護制度 / 地域活性化 / コモンズ / 内発的発展 / 都市史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はテリトーリオ戦略がどのような要件で競争優位性を生むのかをイタリアと日本の事例から明らかにした。 第1は、自社の目的と地域目的(持続可能性)の共通化である。Porter, et,al.(2011)が提唱した共通価値創出(Creating Shared Value: CSV)のとおり、イタリアの農産物・食品の生産者は地域に生かされている、地域の持続可能性が自社の持続可能性であると考え、地域との共存を目指すことから、地域に根ざした(embedded)農業を実践する。後押しするのはEUの農業政策である。農村を生産の場でありつつ生活の場ととらえ、まずは地元の市場と消費者に仕える。そのため、共通農業政策(Common Agriculture Policy: CAP)の補助金は、農業にではなく農村を対象にする比率が増している。 第2は、住民のテリトーリオ教育である。住民、すなわち消費者はテリトーリオ教育を受ける機会に恵まれ、地域に根ざした農業活動によって育てられた農産物・食品を購入・消費することが大切であると理解している。テリトーリオ教育では農業の多機能性も学ぶ。 第3は、ネットワークによるテリトーリオ・アイデンティティと地域コミュニティの形成である。生産者、住民、ステークホルダーら地域の主体はネットワークを形成し、協力しあいながらGIの生産と販売をつなぐテリトーリオの共有財を再発見し、活用し、新たな意味を付与することでテリトーリオのアイデンティティを形成することができる。コモンズの精神が基層にあることから、異なるセクターの主体の水平的関係のみならず、地方行政、GI登録団体、農業従事者らの垂直的関係においてもステークホルダーは信頼とネットワークを形成し、協働活動で地域コミュニティを守ろうとする。 第4は、農業の多機能性による持続可能なフードシステム作りである。イタリアの農業は、経済と非経済のバランスを取ることで豊かな社会を実現する。豊かな社会の源泉は農業の多機能性である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により、国内外での調査を実施できなかった。 データを収集できなかったが、2019年度に収集したデータを用いて、代表者と共同研究者らは書籍の出版に取り組んだ。具体的には、所属機関での国際セミナーの開催や研究会を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍収束によって調査を再開できるまで、これまでの収取データを用いたアウトプットに励む。また、リモートでの調査が可能であれば、現地調査はできなくても、インタビュー調査を実施する。
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[Book] 持続可能な酪農2022
Author(s)
木村純子、中村丁次、一般社団法人Jミルク編著
Total Pages
318
Publisher
中央法規出版
ISBN
9784805884447
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