2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Cultural Property of War Disaster Records-For Tokashiki Village, Okinawa Prefecture
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19H01555
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
麦倉 哲 岩手大学, 教育学部, 嘱託教授 (70200235)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 戦争文化財 / 戦争災害 / 集団自決 / 処刑死 / 集団強制死 / 災害検証 / 災害伝承 / 命の格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の実績として、学会の依頼原稿を2件執筆し学会報告を2回行った。第一に、麦倉が日本社会病理学会機関誌(『現代の社会病理』Vol.38、2023年8月)の巻頭言として「災害も戦災も社会病理学の研究テーマである」を執筆した。戦争による犠牲死がいかに社会病理的な現象であるかを論じ、学会の研究の系譜の記録とした。 第二に、麦倉が同機関誌への依頼原稿として「戦死・戦没者の死の検証と『生命の格差』-渡嘉敷島の戦争から」を執筆した。前年のラウンドテーブルで報告したことを上程した。聴き取り調査結果から、軍民一体となった島の統治の秩序の中で、戦闘において弱い立場に置かれる者の犠牲比率は高く、また軍による処刑もこの構造を如実に物語るものであった。軍の下位にある兵士は食料にありつけず、事実上の餓死が頻発したことも論じた。 第三に、麦倉が学会報告として、日本社会病理学会第39回大会(2023年9月)において、「ハンセン病元患者家族Aさんが歩んだ苦難の淵」と題して報告した。15年戦争との関係でAさんの両親は、隔離政策の徹底により、ハンセン病患者隔離施設に収容され、戦後にAさんが誕生したものである。両親の隔離により、Aさんは誕生後父母から引き離され、養育先も変転し、無戸籍の人生を歩んだ。その過酷な人生史を聞き取り調査から明らかにした。 第四に、麦倉が学会報告として、日本社会学会において「渡嘉敷島における集団死の場所へ行かなかった人びと―戦災犠牲死の検証から伝承文化の構築へ」と題して発表した。集団自決(強制集団死)が起こった島で軍は、住民が捕虜となるのを恐れて島の北部の山間部に集結するように命じた。しかし、そこへ行かなかった住民もいた。一部の住民ははなぜ行かなかったのか、軍命に従わなかったのか従わなくてすんだのか、戦争体験者への聴き取り調査から明らかにした。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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