2019 Fiscal Year Annual Research Report
Examining the relationship between personal networks and diverse economies: maintaining work-life balance in local areas
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19H01565
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石井 まこと 大分大学, 経済学部, 教授 (60280666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 高志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (70404358)
阿部 誠 大分大学, 福祉社会科学研究科, 特任教授 (80159441)
相川 陽一 長野大学, 環境ツーリズム学部, 准教授 (90712133)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地方圏 / 自営業 / 公共セクター / ライフコース / なりわい / 地方創生 / 雇われない働き方 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、本研究では地方圏における多様な就業作りを可能にする「人的つながり」の重要性と「多様な経済」の展開を明らかにするため、社会政策、労働社会学、ジェンダー、経済地理学等の学際的な研究者による研究会を組織し、研究会の開催と自営業創業者や支援自治体へのインタビュー調査を実施した。 まず定量分析として、2010-15年の国勢調査を利用し、年齢別・地域別の雇用から非雇用への動向をみた。そこでは、非雇用(雇われない働き方)の全般的増加傾向、特に家族形成期である30~40歳代が増加し、ライフコースの変化が仕事への変化に繋がっていた。これをふまえ、再度、島根県浜田市・江津市、長野県上田市の自営業を創業した人に対し、ライフコース過程を振り返ってもらった。特にこれまでの調査で欠けていた女性起業者の位置づけを検討するようターゲットを絞った。加えて、新規に大分県佐伯市に調査も行った。 今回の分析では、自営業への展開は、雇用や公共部門からの移行が一般的であり、労働から生活へのバランスをとる生活シフトのなかで生まれていることが明らかになった。自営業へのシフトは行政等の支援により顕在化していく程度は異なるが、あらゆる地域で顕在化し、増加傾向にある。今回、大分、島根、長野調査で約30人のインタビューを取集し、自営業という選択への主体性(なりわいの模索)、雇用や公共部門の役割の重要性、ビジネス重視か生活重視かの差異の存在等を確認している。現時点で得られる含意は、ある一時点の労働市場のマッチングを軌道修正するプロセスが地方圏の自営業移行に影響している点である。つまり、労働市場需給バランスを修正する過程としても地方圏での自営業選択は機能している可能性を示唆している。今後も同地域でインタビューを継続し、現時点での環境の激変への対応も含めてフォローしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度末にかけて、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、調査実施に制約が若干生じたが、ほぼ予定通りの調査・研究会を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
年度前半はインタビュー調査の実施や研究会の開催が難しいため、オンラインツールを使いながら研究の継続に努めていく。学際的研究にするため研究会メンバーを増やし、それぞれの研究分野の学会での研究報告を行い、本テーマの研究活性化を進めていく。
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Research Products
(3 results)