2020 Fiscal Year Annual Research Report
Examining the relationship between personal networks and diverse economies: maintaining work-life balance in local areas
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19H01565
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石井 まこと 大分大学, 経済学部, 教授 (60280666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 高志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (70404358)
阿部 誠 大分大学, 経済学部, 客員研究員 (80159441)
相川 陽一 長野大学, 環境ツーリズム学部, 教授 (90712133)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活志向 / 事業志向 / 起業 / 多依存 / 生業 / 地方圏 / 人的つながり / 多様な経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では地方圏における多様な就業作りを可能にする「人的つながり」の重要性と「多様な経済」の展開を明らかにすることを目的としている。2020年度はコロナ禍の影響により予定されていた調査実施が大幅に遅れた。しかし、調査対象者の協力もあり、新たな調査地域である大分県竹田市を加え、地方圏で制度的資源も活用しながら、生活と仕事を生産する人々へのインタビューを行った。さらに、追跡調査を長野・上田地域で行っている。本年度の調査で明らかになりつつある点として、第一に、多様な経済を展開する仕事創出にあたり、主体がもつ志向性の違い、すなわち事業志向か生活志向かによる違いの重要性である。現在、これらが峻別されずに全て「起業」「創業」として括られている。われわれ研究チームは後者の生活志向の仕事づくりや人的つながりに着目し、生産性ではなく関係性の質向上を志向する層が地方圏で生活する意義と役割を明らかにしている。第二に、生活志向を持つ者がなぜ地方圏で仕事作りを選択するのかを明らかにしている。そのために、当事者の仕事や生活の語りから、今後分析を進めていく準備をしている。第三に、地方圏にいる生活志向をもつ人々の仕事の生活での位置づけとその就労形態である。いわゆる主業や副業といったカテゴリーではなく、それぞれが意味のある複数の仕事を掛け持ちして生活を成り立たせている。一部は産業化された仕事の世界とは関わりつつも、生業(なりわい)として、産業労働に依存しすぎない生活へシフトするため、複数の仕事を組み合わせる多依存による生計維持で実現している。以上から、地方圏では産業化のなかで創り出された「主業」は、その存在を相対化させつつあることがうかがえる。多くの依存先を地方圏に求める人々が存在していることが、本研究を通じて明らかになりつつあり、今後の生活保障の議論を深めていく上で重要な論点になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、調査対象者の選定・調整に時間がとられているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究結果に必要な大枠のデータは得ることができている。今後は、仮説確認のためのフォローアップ調査をコロナ禍が落ち着くことを前提に実施する。本研究の内容は書籍化する方向で準備を進めている。
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Research Products
(8 results)