2021 Fiscal Year Annual Research Report
Same-sex Partnership in Hong Kong and Japan: Where Family Studies Meets Queer Studies
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19H01571
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
Khor Y.T.Diana 法政大学, グローバル教養学部, 教授 (00318594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
釜野 さおり 国立社会保障・人口問題研究所, 人口動向研究部, 第2室長 (20270415)
神谷 悠介 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (60870342)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 同性カップル / ゲイ・レズビアン / SOGI / ヘテロノーマティヴィティ / 法律婚・事実婚・同性カップル比較 / モニタ型ウェブ調査 / 同性カップル関係の量的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、香港と日本において、同性カップルの生活実態を量的および質的データから明らかにすると共に、同性パートナーシップの法的承認に関わる議論のメディア分析を行う。これらの分析を通じて法的承認がヘテロノーマティヴィティ(異性愛のみが正しく、それ以外の性のあり方は正しくないと考える体制)を弱めたり強化したりするメカニズムを探る。関係性の承認およびその議論が、同性カップルにどのような影響をもたらすのかを交差性の視点から考察する。具体的には①同性カップルの生活と意識を調査で捉える、②同性カップルの家族形成が家族制度にどう作用するのかをデータから考察する、③同性カップルの承認ニーズやカップル規範が同性パートナーシップをめぐる社会状況とどのように関連しているのかを検討する。 今年度は同性婚にかんする議論を整理し、論文を発表した。神谷悠介は、過去に実施したパートナーシップ制度の利用者や検討者へのインタビューを基に同性パートナーシップについて講演した。調査に関しては、70年代に米国で設計されたCouples Survey (Blumstein & Schwartz, 1983, American Couples)が網羅的で現在にも通用する優れたものであることを認識し、同Surveyを基にした調査票を用いる方針とした。同Surveyを和訳し、項目の調整を行った。同性カップルと比較するため、異性カップルも含めることとした。調査には家事分担、家計管理、消費行動、コミュニケーション、対立、家族・職場との関係、仕事、余暇、コミュニティとのかかわり、関係の法的承認についての考え等を含めた。前年度のスクリーニング調査で捉えた同性カップルの男女に加え、法律婚の男女、事実婚の男女に対しウェブ調査を実施し、3つのカップルタイプの男女それぞれについて515の回答を収集した(事実婚男性のみ517、計3092)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた香港および日本におけるオープン型ウェブ調査およびインタビュー調査の実施に至っていないことから「やや遅れている」と評価した。これらを実施していない理由は、日本においてモニタ型ウェブ調査を実施し、その回答結果をみてから、オープン型ウェブ調査でどの調査項目を用いるかを検討することにしたためである。モニタ型ウェブ調査で用いる調査票については、これまで設計していたものではなく、急遽70年代に米国で設計されたCouples Survey (Blumstein & Schwartz, 1983, American Couples: Money・Work・Sex, Pocket Book: N.Y.)で用いられた調査票をベースにし、比較検討のために法律婚している男女、事実婚している男女も含めることにしたため、準備に予定よりも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、昨年年度末に日本で実施したモニタ型ウェブ調査のデータを集計し、3つのカップルタイプ(同性カップル、法律婚、事実婚)の男性と女性(合計6グループ)の家族関係や意識を比較する。このデータの分析結果を踏まえ、香港と日本の両サイトにおけるオープン型ウェブ調査で用いる調査項目を選定して、調査票を確定する。両サイトで同性パートナーと同居する人を対象としたオープン型ウェブ調査(SNSや機縁法等で調査を拡散し、こちらで設定した調査URLにアクセスしてもらって回答を収集する)を実施する。また、両サイトにおいて、同性カップルで生活する人へのインタビューを行う。 ①先行研究のレビュー:前年度に続き、同性パートナーシップや同性カップルの関係性と生活に関する研究動向を整理し、適宜まとめる。 ②昨年年度末に日本で実施したモニタ型ウェブ調査のデータのクリーニングを行って集計し、3つのカップルタイプ(同性カップル、法律婚、事実婚)の男性と女性(合計6グループ)の家族関係や意識を比較する。 ③上記データについて、自らをアンケート調査のモニタとして登録するという特殊な層においても回答が得られにくかったり矛盾回答が目立ったりする項目を調べつつ、各カップルタイプの特徴が現れやすい項目を見極め、香港と日本の両サイトにおける同性カップル対象のオープン型ウェブ調査で用いる調査項目を選定する。調査票を確定し、サーベイモンキー(セルフアンケートシステム)上で、日本および香港(英語・広東語)の調査票を作成する。両サイトで調査を拡散する手順を検討する。 ④量的調査の結果を踏まえ、同性カップルへのインタビュー内容を検討し、香港および日本において同性カップルで生活する人々へのインタビューを行う。
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