2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative Sociological Study of Changing Social-Economical Functions and New Roles on Local Communities
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19H01584
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
辰己 佳寿子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80379924)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 村落社会 / 農村生活改善 / 社会経済的機能 / 農山漁村女性 / 自立発展性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、これまで収集した調査データーの整理・分析を行い、研究会等を通して、研究チーム内での議論を深めながら、文献研究と論文執筆、国内調査に重点を置いた。文献研究では、戦後から現在までの村落研究のレビューを行ったり、海外における小農・食農倫理や互酬等に関する研究の整理を行ったりした。発表論文は以下の2本である。ひとつは、山口県における農村生活改善に携わった農山漁村女性の変化を中長期的に捉えたもので、戦後の生活改良普及事業が農業開発・農村開発に関して条件不利地である山口県でどのように再編され実施されてきたのか、村落社会の人々はこの事業をどのように受け入れて主体的な活動に転換してきたのかを整理し、事業終了後も続く生活改善活動および村落活動の意義について論じた研究成果である。もうひとつは、昨年度にインドネシアのセミナーで発表した内容を農村社会学者や農業経済学者から得た助言をもとに加筆修正し、村落社会に従来から存在していた互助的な活動が復興過程において多面的に機能することを実証した論文である。これらの2つの研究成果を通して浮き彫りになった、外部からの事業を受け入れる村落社会の柔軟性や自立発展性、日常・非日常においても発揮される社会経済的機能は、ネパール村落社会の分析視角としても参照できると確信している。ネパール調査は実施できなかったが、30年以上ネパールでボランティア活動を継続している日本人ヘの聞き取り調査やオンラインでの研究会を行いながら情報収集を行った。国内調査では、地域文化を継承している活動や安全安心な食を基礎にした地域活動などの視察や聞き取り調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響で海外の調査が大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
国内調査や研究成果の発表に重点を置きつつ、状況をみながら海外調査を実施する予定である。
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