2020 Fiscal Year Annual Research Report
International Research Project on Primary Resources of Exiled Intellectuals: On Sociology for "Good Life"
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19H01585
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Research Institution | Nagasaki Wesleyan University |
Principal Investigator |
吉野 浩司 長崎ウエスレヤン大学, 現代社会学部, 教授 (40755790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 麦生 日本大学, 文理学部, 助手 (70758557)
吉田 耕平 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (90706748)
磯 直樹 慶應義塾大学, 法学部(三田), 特別研究員(RPD) (90712315)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会学 / 利他主義 / 亡命 / 〈善く生きる〉 / フランス / チェコ / ロシア / 知識人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ロシア語圏、フランス語圏、ドイツ語圏、英語圏における、ロシア・中東欧で生まれた亡命知識人の代表となる社会学者を選定する作業を行い、ロシア人であるソローキンならびにギュルヴィチによる学問と思想を、〈善く生きる〉ための社会学の1つに位置付ける作業を行った。中間報告として、『利他主義社会学の創造』(昭和堂、2022年刊行)を発表した。本書は研究分担者にも一読してもらい、研究代表者(吉野)のソローキン研究と、<善く生きる>ための社会学とを架橋する作業を行った。 海外調査については、コロナ禍のため、海外渡航が極端に制限されてしまったために、実施することができなかった。そこで調査地の事情に明るい研究協力者として、阿毛香絵氏(京都精華大学)および中辻柚珠氏(京都大学)に加わってもらい、それぞれフランスおよびチェコにかんする資料と情報の提供を行ってもらった。 また国内の学会については、ほとんどの学会が対面で行うことが困難であったことから、可能な限り遠隔での会議の参加を試みた。そのための環境整備にかなりの時間と労力を投入することとなった。 定例研究会では、遠隔ならびにハイブリッドでの会議を5月、6月、3月と重ねて、上記の阿毛氏、中辻氏にも参加を要請した。最終的に、「〈善く生きる〉ための社会学の系譜:スラヴ地域からの亡命知識人が残した遺産と展望」(長崎ウエスレヤン大学現代社会学部紀要 19(1) 53-72 2020年12月)として、共著論文をまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では、ロシア、フランス、ドイツ、チェコ、アメリカ等、海外での文献調査および研究会を実施することになっていた。しかしコロナの影響で、研究活動に極端な制限が加えられてしまった。海外渡航も実質的には、ほぼ不可能となってしまった。そこで本年度は「遅れている」とした。 ただし可能な限りではあるが、遠隔での国内外の会議には参加しつつ、計画自体の再調整の方向性を探ることにした。研究分担者間で、全体的・個別的なトピックに関する小会議やメール交換をまめに行い、研究の遅れを補った。 他方、これまでに集めた史資料の蓄積を精査したり、予定していた研究機関や調査予定地の研究者とのネットワークやWebを通じて情報を博捜することで、最小限の研究資料を確保することはできた。それらの資料をもとに、本年度の成果を論文としてまとめることができた。さらに次年度以降のフランス、およびドイツにおける亡命知識人の活躍の場所と資料の選定を行うことができた。 また次年度以降の海外渡航の展望が開けないことが予想されることから、ロシア・中東欧における亡命知識人の日本の学問への影響についての資料調査を、前倒しで行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの状況をうかがいながら、可能な限り延期していた海外での調査・研究会を実施する。他方、新たに加わってもらった2名の研究協力者(阿毛氏・中辻氏)とも継続してコンタクトを取りつつ、共同で研究成果を発表する。特にフランスで主として活躍したG.ギュルヴィチに関する研究を進めていく。 コロナの鎮静化が難しいことも予想されることから、研究年度の終盤に予定していた、「亡命知識人の日本の社会科学への影響」についての検討を前倒しにすることを可能にするための準備を行う。具体的には、F.オッペンハイマーと高田保馬、P.A.ソローキンと鈴木栄太郎などの関係が想定される。これらについては、京都大学文書館、北海道大学文書館、小城市歴史資料館をはじめとする、各地の資料館での調査が望まれる。
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Research Products
(5 results)