2021 Fiscal Year Annual Research Report
International Research Project on Primary Resources of Exiled Intellectuals: On Sociology for "Good Life"
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19H01585
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Research Institution | Nagasaki Wesleyan University |
Principal Investigator |
吉野 浩司 鎮西学院大学, 現代社会学部, 教授 (40755790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 麦生 日本大学, 文理学部, 助手 (70758557)
吉田 耕平 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (90706748)
磯 直樹 慶應義塾大学, 法学部(三田), 特別研究員(RPD) (90712315)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 亡命ロシア知識人 / 世界の社会学 / ギュルヴィチ / バランディエ / ガイガー / 高田保馬 / 鈴木栄太郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
4月25日にメンバー全員で、ズーム会議を実施した。前年度より引き続き、フランス班を中心とする、ギュルヴィッチ論の検討会を行う。ギュルヴィッチのロシア時代の事績の解明、あるいはバランディエへの思想と学問の継承関係を跡付けることができた。またコロナの終息が見えないなかでの、本年度の実施計画(修正)についての見直しを行った。 また海外渡航が制限されるなか、亡命知識人の社会学者たちに対する、日本での受容のされ方をさぐった。さしあたり高田保馬のシュムペーター受容、鈴木栄太郎のソローキン受容についての資料調査を行った。その際、彼らの未刊行自伝の整理を並行して行った。7月3日に分担者吉田による代表者吉野の単著『利他主義社会学の創造』(昭和堂、2020年刊)の合評会を、経済学史研究会において実施した。本研究の中間報告に当たる『利他主義社会学の創造』を、公開の場で合評することで、ソローキンから亡命知識人へ、利他主義社会学から<善く生きる>ための社会学への方向付けが定まった。 本年度の成果として、下記の学会発表と、論文掲載を行った。「亡命ロシア知識人ジョルジュ・ギュルヴィッチの現代フランス社会学・人類学への貢献」「20世紀初頭の亡命ロシア社会学者による文明変動論―P.A.ソローキン、G.ギュルヴィチ、N.ティマシェフを例に」「オーストリアにおける知識人亡命者 : オーストリア社会科学者たちの亡命」「ガイガー 社会学 : 主要潮流,課題,手法(1)」「高田保馬の家郷肥前三日月 : 草花の匂う社会学の誕生」など。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画においては、海外の研究機関での資料収集・調査・研究会を予定していたが、コロナによりスケジュールに遅れが生じている。次年度以降に調査を持ち越すことにし、国内でできる資料の収集と研究の共有を、可能な限り行った。そのような中でも、ギュルヴィッチ、ガイガー、ヤコブソン、レヴィ=ストロースらに関する基礎研究は進めており、コロナ明け後には、ただちに現地調査ができる状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、国内でできることを、優先的に行う。日本におけるギュルヴィッチ、ガイガー、ヤコブソン、レヴィ=ストロースらの研究史を整理する。また、ソローキンとギュルヴィッチの同時代人であるティマシェフの基礎研究を進めている。邦文献ならびに、ロシア語、英語を中心とする文献についての蒐集も、かなり進んできた。そのため、これまで未開拓であったティマシェフのロシア時代の事績の掘り起こしを進めていくことにした。また亡命後のソローキンとの深い関係や、法社会学をめぐるギュルビッチとの考え方の違いについても、明らかにしていく。ティマシェフはドイツとフランスにも滞在したことがある上に、ドイツ語、フランス語による著作もある。研究会においては、各班の立場より、ティマシェフの学説整理に対するサジェスチョンを受ける。
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Research Products
(5 results)