2020 Fiscal Year Annual Research Report
社会福祉における評価レジーム再編の課題をめぐる理論的・実証的研究
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19H01586
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Research Institution | Tokyo Online University |
Principal Investigator |
平岡 公一 東京通信大学, 人間福祉学部, 教授 (10181140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山井 弥生 (斉藤弥生) 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40263347)
長澤 紀美子 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (50320875)
畑本 裕介 同志社大学, 政策学部, 教授 (50523544)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会福祉 / 評価レジーム / 福祉サービス第三者評価 / 福祉計画 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、研究組織メンバーによるオンラインによる5回の研究打ち合わせを行い、当初の実施計画に沿って研究を進めた。都道府県を対象とする質問紙調査については、繰越制度を利用して、2021年度に入ってから実施した。主要な研究結果は、次のとおりである。 1)福祉計画の評価の事例分析の結果、いくつかの重要な発見があった。一つには、自治体に求められる各分野の計画の数が増加しており、計画の実績評価が求められることが多くなっている。このことは、限定的な形ではあるが、計画の評価を通した業績管理のしくみの導入の動きが見られるようになっていることを意味する。他方、個別の福祉計画と自治体の総合計画の結びつきは相対的にみて弱く、福祉計画においても「縦割り行政」的な傾向が認められる。地方分権改革の進展のなかで、福祉計画を通した政府間関係の再編が進みつつあるという側面もある。 2)行政評価制度について、個別事例を検討していくと、都道府県でも一定の方式の評価が制度化され定期的に実施されているとは限らず、また多様な制度を組み合わせて実施することがあるなど、総務省の調査結果からは把握できない実態が明らかになった。 3)都道府県の質問紙調査は、介護保険事業支援計画担当課を対象に「都道府県の介護保険事業支援計画等における評価に関する調査」として実施し、21都道府県から有効回答を得た。そのデータの集計・分析は、2021年度補助事業において行う。 4)先進諸国の介護サービスの質の評価制度は、民間、保険者、自治体、国という制度を主導する組織の違いと、免許の交付、証明、認定、協定といった制度の目的の違いから分類することができ、その中に、日本の諸制度を位置づけることで、日本の評価レジームの特質が明らかにできることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2020年度内に都道府県の第三者評価・計画評価・行政評価についての質問紙調査を実施する予定だったが、行政評価の実施方法と実施状況、およびこれら3種の評価の関連のしかたがきわめて多様であることが判明した。そのため、適切な調査票の作成のためには、公表資料と事例分析を年度末まで継続する必要があると判断した。そこで、繰越制度を活用し、2021年度に入ってからこの調査を実施した。このことにより、全体として、進捗状況がやや遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度補助事業においては、当初の計画に沿って、都道府県の調査データの分析、市町村を対象とする質問紙調査の実施、諸外国の評価レジームと各種評価制度の分析等を進め、研究成果の一部を、学会大会において発表することとしている。
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