2019 Fiscal Year Annual Research Report
施設コンフリクトの全国悉皆調査による実態経年比較分析とマネジメント手法の構築
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19H01591
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
野村 恭代 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (10461188)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンフリクト / 施設コンフリクト / コンフリクト・マネジメント手法 / 合意形成 / 合意形成プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2010(平成 22)年度以降の障害者施設をめぐるコンフリクト発生実態を、全国調査を実施することにより究明することである。加えて、施設コンフリクト発生率の高い地域と低い地域の外部環境の差異、及び合意形成に至るプロセスを明らかにしたいと考えている。障害者施設のなかでも精神障害者施設を取り上げ、施設コンフリクトの発生事由について、地域側の要因(社会文化的背景等)の関与を明らかにする。精神障害者施設コンフリクトに関する全国調査は、1980 年代には国立精研、1990 年代には毎日新聞によって実施されているが、2000 年代以降は申請者の調査しかなされていない。本研究では、2010 年に申請者が実施した 2000 年から 2010 年までの 10 年間における施設コンフリクトの実 態調査結果との比較検証を行うことにより、直近10年間の動向について分析を行う。そして、信頼関係の醸成をゴールとするコンフリクト・マネジメント手法の可能性及び「仲介者」の属性や資質、期待される具体的な機能等について解明する。 このような研究目的のもと、本研究ではまず、①2010年以降から現在にいたるまでの精神障害者施設におけるコンフリクト発生状況について、その実態を明らかにしたいと考えている。その上で、過去の施設コンフリクト発生状況と近年の状況について、1980年代から現在に至るまでの調査結果を分析し、近年の施設コンフリクトの発生動向について明らかにする。 2019年度は、全国調査実施に向けた予備調査を実施した。予備調査は、A市にあるすべてのグループホーム(225ヵ所)を対象とし実施した。本予備調査を踏まえ調査票の見直しを行い、2020年度には全国調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた調査研究については、当初の予定に沿って展開することができた。 予備調査は、A市のすべてのグループホーム(225ヵ所)を対象にアンケート調査を実施した。具体的には、自記式回答用紙を郵送にて配布し、返送による回収を行った。質問項目は、①施設・事業所等の概要、②施設・事業所等立地地域の概況、③地域との関係性、④施設側の施設と地域との関係に対する意識、の4つの大項目により構成した。調査は、2020年1月に実施した。調査の結果、施設コンフリクトが発生した施設は5施設であり、全体の7.4%であることが明らかになった。また、2019年12月には毎日新聞が全国の自治体を対象とした施設コンフリクトの全国調査を実施しており、その際の調査設計から分析に至るまで申請者も関与したことから、2019年の毎日新聞調査結果を用いて、行政側と地域側との意識の相違に関し分析を行うことも可能となった。2020年度に実施する全国調査においても、行政側と施設・事業所側の認識の相違について分析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には、予備調査の結果を踏まえて本調査を実施する。全国調査では、全国精神障害者地域生活支援協議会の協会名簿を基に、全国の精神障害者施設に対しアンケート調査を実施する。また、可能であれば、他分野・領域におけるコンフリクト発生状況についても調査を実施したいと考えている。 調査票については、先に実施した2010年度自記式質問紙をベースとして、2019年度の予備調査の結果も踏まえ作成する予定である。また 近年の施設コンフリクト発生の動向及び特徴を明らかにするために、1980年代~2000年代に国立精研などによって実施された全国調査結果と今回の調査結果について、①地域特性 (施設・事業所の立地する場所の特性)、②施設種別、③運営主体、④法人種別、⑤施設規模等から比較し、それぞれの年代による相違点を分析する。なお、1980年代については国立 精神・神経センターによる全国調査結果、1990年代については毎日新聞による全国調査結果、2000年代については申請者が実施した調査結果を用いる。 2019年度の調査研究で得られた知見に関しては、2020年度に所属する学会での報告を行うとともに、論文としてまとめ発表する予定である。
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Research Products
(7 results)