2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the development of human resource management methods for promoting OJT based on long-term care skill evaluation
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19H01593
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
筒井 孝子 兵庫県立大学, 経営研究科, 教授 (20300923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 定律 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60419009)
大夛賀 政昭 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (90619115)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 介護技術評価 / OJT / 人材マネジメント / 質保証 / 介護キャリア段位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、介護サービス事業所内におけるOJT体制整備のためのマニュアル作成である。昨年度の研究から、介護キャリア段位制度に取り組んでいる事業所では、OJT体制として、介護技術の教育に関わる指導者の育成、配置、介護職員のスキルアップにむけたプランやパスの提示がされる「学習する組織」の基盤が創られることで早期離職率が低くなる傾向が示された。また、OJT体制として、新人職員だけでなく、中堅職員への教育の充実が重要であることがわかった。 今年度は、昨年度、作成した介護技術評価を日常業務に組み込んだOJT実行マニュアルを施設、通所、在宅等の多様なサービス形態の介護事業所で実際に使用し、マニュアルに設定された第一段階が事業所内のOJTとして利用できるかを検討した。 第一段階では、キャリア段位制度におけるアセッサーの資格を取得した職員が、6領域(入浴、食事、排泄、体位変換、感染症対策、事故発生防止)29項目の評価を被評価者として選定した介護職員5名に行い、同時に被評価者となった5名の介護職員も自己評価をする。そして、アセッサーが、第二段階で自ら実施した他者評価と自己評価の差異を分析し、自分の事業所で自己評価と他者評価間で差が出やすい技術を明らかにし、重点的に研修を必要とする職員を選定する。本年度の研究結果からは、このマニュアルの第一および二段階の実効性は高いことがわかった。 また、事業所種別の分析結果から、介護老人保健施設や介護老人福祉施設等の入所系に比較すると、認知症対応型共同生活介護や通所介護といった在宅系サービスで技術習熟度が低い傾向がみられた。この他にも全事業所で経験年数と共に習熟度が向上する傾向は示されないといった重要な知見も得られ、より職員の能力に応じたOJTの必要性が示唆された。 今後は、事業所種別のキャリア別の特徴を鑑みたOJTマニュアルの改善を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、施設や、在宅で介護サービスを提供している多様な事業所のアセッサー3898名に対して、昨年度に作成したOJTマニュアルの第一および二段階を実施した。マニュアルの実効性は高く、これを用いて、介護事業所が学習する組織となる基盤作りができることが明らかにされた。また、通所、訪問系のサービス種別を鑑みたマニュアルが必要であるとの示唆を得ることができ、概ね計画通りに順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度データの介護事業所種別の技術の習熟度に関する追加的分析を行い、事業所別の特徴を踏まえた、より効果的なOJTを実現できる方法の検討を予定している。 また、調査に回答した事業所から、いくつかにヒアリング調査を実施し、新人職員だけでなく、中堅、ベテランを含めたOJT体制を実施するために必要と考えられる臨床知見を収集しながら、OJT実行マニュアルの第三段階の実施を予定している。
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