2020 Fiscal Year Annual Research Report
ジョージ・ミュラーのキリスト教福祉思想が日本社会事業へ与えた影響に関する研究
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19H01601
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
木原 活信 同志社大学, 社会学部, 教授 (20275382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジョージ・ミュラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまでアカデミックな俎上にはのぼることのなかったミュラーの人物像を社会事業史のコンテキストで実証的に解明することであるが、2020年度は、ジョージ・ミュラーの来日した歴史的記録を日本側の当時の新聞記事等(基督新聞)より、その足跡を実証的に明らかにすることができた。また、文献解題の中心は、ミュラーに関しては、“Autobiography of George Muller”A Narrative of Some of the Lord's Dealings with George Muller”およびピアソンの詳細な伝記(Pierson,1899)を順調に日本語に全文を翻訳する作業ができた。 その成果として、「ジョージ・ミュラーの来日をめぐる日本のキリスト教界の反応と社会福祉史への影響」『キリスト教社会問題研究』69号を学術論文として公開することができた。 これまで、社会福祉学の研究史上において、未解明で、等閑視されてきたミュラーの実像の史実の発見であるばかりか、新しい社会事業史の解明につながり、研究結果においても学術的独自性が期待できる。またキリスト教社会福祉学においても、これまで、どちらかと言えば社会派の関連が福祉の直接的影響の中心として議論されてきたのに対して、ほとんど表舞台にあらわれることのなかった福音派や敬虔主義という内的信仰や神秘主思想が、逆説的に社会福祉の形成にもっとも強い影響の一端を担った可能性への探究は独創的かつ発展的であり、学術的創造性が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミュラーに関する、当時の基督新聞から重要な記事を見つけることができ、そこから諸種の関連する史実を辿ることができたたことが、その理由の一つとして挙げられる。また、同志社大学の人文科学研究所の全面的な協力が得られたことも要因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ミュラーにかかわる日本側の記録など、更に発見していく必要がある。引き続き、同志社大学の人文科学研究所の協力を求めていきたい。特に、日本のキリスト教史との関連で議論していきたい。 特に、社会派の関連が福祉の直接的影響の中心として議論されてきたのに対して、ほとんど表舞台にあらわれることのなかった福音派や敬虔主義という内的信仰や神秘主思想が、逆説的に社会福祉の形成にもっとも強い影響の一端を担った可能性をさぐっていきたい。
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Research Products
(3 results)