2021 Fiscal Year Annual Research Report
コンピテンシーに基づくスーパーバイザー養成プログラムのモデル構築
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19H01603
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡田 まり 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40309076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 豊子 日本福祉大学, スーパービジョン研究センター, 研究フェロー (70305275)
片岡 靖子 久留米大学, 文学部, 教授 (30389580)
潮谷 恵美 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (70287910)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク・スーパービジョン / スーパーバイザー / コンピテンシー / ソーシャルワーカー / 福祉専門職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目標は、ソーシャルワークにおけるスーパーバイザーのコンピテンシー尺度(案)を作成することであった。スーパーバイザーを対象とするインタビュー調査と郵送調査を予定していたが、郵送調査については延期となり、コンピテンシー項目(案)の作成にとどまった。 インタビューに関しては、スーパーバイザーのコンピテンシー、すなわち優れたスーパーバイザーの行動や認知とはどのようなものかを明らかにするために、優れたスーパーバイザーを対象にオンラインで半構造化面接を実施した。対象者4名はいずれもスーパーバイザーとしての経験が豊富で福祉現場においては指導・管理を行う立場にあり、全国レベルのソーシャルワーク職能団体で人材育成プログラムの開発・運営・実施に携わっている。なお、インタビューは、人を対象とする研究倫理審査委員会の承認を受けたうえで実施した。 インタビュー内容を分析した結果、コンピテンシーと考えられるものとして次のようなものが抽出された。①スーパービジョンの目的の明確化・共有、②スーパーバイジーにとって安心・安全な関係づくり、③ソーシャルワークの価値・倫理の重視、④理論ベースのアセスメント、⑤ミクロ・メゾ・マクロレベルを一体的・統合的にとらえる視点、⑥言語・非言語両面に着目した継続的なアセスメントとモニタリング、⑦スーパーバイジーの主体的な取組の重視、⑧スーパーバイジーの発達段階に応じた対応、⑨アクションプランの実現・実施に向けた支援、⑩中長期的な視点も踏まえた振り返り・課題設定などである。 これまで収集したデータと合わせれば、多くの項目(案)が抽出されたが、先行研究を踏まえると未出のものがあり、項目間の関係や構造についても検討が必要である。また、コンピテンシー項目の文言についても整えることが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の対象者は福祉施設や医療機関に勤務しており、新型コロナウイルス感染拡大で業務が逼迫するなかで、研究協力は難しい状況であった。そのようななかでも4人から協力を得られたが、コンピテンシーの概念を飽和化するだけのデータ量には至っていないため、さらなるデータ収集が必要である。また、コンピテンシーの項目間の関係や構造などについて整理し体系化することが必要であることも明らかになった。当初の計画では、コンピテンシー項目リスト(案)ができれば、デルファイ法による有識者対象の郵送調査を通じて項目を選定し、さらに尺度開発を行う予定であったが、項目リストについて慎重に検討するために郵送調査は延期することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、優れたスーパーバイザーを対象とするインタビュー調査を引き続き実施するとともに、これまで収集したデータや先行研究も見直して、コンピテンシー概念が飽和化するまでデータ量を増やし、コンピテンシー項目リスト(案)を更新する。そして、有識者の意見に基づいてコンピテンシー項目を確定させる。なお、コンピテンシー項目確定のために、これまでデルファイ法による郵送調査を実施する予定であったが、対象者が所属する職能団体に調査票を郵送することで職能団体に負担をかけることが明らかになったため、インターネット調査やエキスパートレビュー等の他の方法も検討する。 第二に、コンピテンシーを習得するための研修プログラムのモデルを教育理論や組織理論、人材開発に係る最新動向などを踏まえて考案する。プログラムの一部については、福祉・医療現場で指導的立場にあるスーパーバイザーの協力を得てパイロットスタディを実施し、その実現可能性を確認するとともに、長所と短所を調べて本格調査に向けてモデルを改善する。
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