2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19H01619
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
北村 嘉恵 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20322779)
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2019-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 先住民史 / ライフヒストリー／生命史 / 家族史 / 歴史記憶 / 越境結婚 / 植民・移民 / ジェンダー |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間中には、感染症対策の制約のもと、国内外での調査計画の実施に向けて再調整を重ねつつ文献研究から重点的に進めることとし、新たに拡充されたオンラインデータベースなどを活用して研究課題に取り組んだ。
前半期には、婚姻・家族制度の様態と変化について、理論および史的実証の手法に目配りをしながら日・華・英語圏の研究蓄積を集中的に渉猟した。とりわけ、社会的に外部とみなされた者や寄留者・移住者との性的関係や婚姻関係をめぐり、女性や子どもの地位および処遇、結びつきの流動性や連鎖性を捉えるための方法と史料の可能性について重点的に検討を進めた。
後半期には、植民者と婚姻・内縁関係を結んだ台湾先住民のライフヒストリー構成に向けて、文献研究により事前に絞り込んだ人々について聞き取り調査の準備を進めた。親族関係者との通信については所期どおりの進捗は得られなかったものの、函館および東京で資料調査が実現し、オンラインデータベースでは非公開ないし欠落している資料を確認することができた。これにより単に検討対象が拡がったというだけでなく、すでに収集していた資料や現在公開されている資料群の読解がようやく可能になった面があることが重要な収穫であった。
主な成果発信としては、霧社事件の表象を主題とする国際シンポジウムをもとにした学術論文集の出版企画に加わり、台湾先住民史研究のなかでは例外的に蓄積の分厚いこの出来事について、セデック女性の経験に即して「事件」の捉え直しを試みた中文の論考をとりまとめ、台湾の出版社から公刊することができた。あわせて英文版の出版に向けて改稿を進めた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2年目にあたる2020年度には、比較参照軸として北米での実地調査に着手する予定であった。しかし、感染症対策の制約のもとで研究計画の見直しを行い、英・華語圏の理論的研究の検討の比重を高めるとともに、年度末までの調査実行の可能性を探ることとした。結果的に、国外渡航条件が整わない状況が継続したことから、補助金繰越制度を活用して研究計画の再調整を行い、2022年度までに国内諸機関に絞って資料調査を実施することができた。総じて、実地調査の計画は遅延や変更を余儀なくされた面がある一方で、研究の枠組みや方法の吟味を集中的に進め、理論面を強化することにつながっている。また、北米・台湾の研究者とともに学術書の同時刊行を進めて複数言語で研究成果の発信を図っているほか、書評・研究動向などの形で関連領域の研究との議論を重ねている。
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| Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、国内外の学会でセッション報告やワークショップを実施するとともに、台湾および国内で補足的な聞き取り調査・資料調査を実施し、単著公刊に向けた準備を進める見込みである。
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