2019 Fiscal Year Annual Research Report
学校政策と地域社会の持続可能性に関する国際比較研究-学校の存在意義の再検討
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19H01622
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井本 佳宏 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (10451501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生澤 繁樹 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70460623)
榎 景子 長崎大学, 教育学部, 准教授 (60813300)
小野 まどか 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (00761868)
末松 裕基 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10451692)
高橋 望 群馬大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (10646920)
辻野 けんま 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80590364)
辻村 貴洋 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10546790)
堀 健志 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10361601)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校 / 地域社会 / 持続可能性 / 学校制度改革 / 国際比較 / イギリス / 上越地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校政策による地域社会の教育秩序の揺らぎを国際比較調査を通じて検証し、現代社会における学校の存在意義を持続可能性の観点から再定義することを目指すものである。2019年度については研究メンバーによる各担当国・地域についての情報収集、その進捗に基づいた意見交換、調査実施に向けた準備、上越地域での現地調査を行った。 2019年6月29日・30日に第1回全体会を開催し、各分担の研究進捗報告と意見交換を行った。その結果、日本国内における研究対象から当初予定した三陸地方を除き、上越地方に絞り込むことで、海外調査対象国との日本国内の比較参照先の一本化を図った。 2019年9月24日には、イギリスより元教員のJoyce Matthews氏を招聘し、「スコットランドの学校改革と地域」をテーマに交流会および情報交換会を行った。同氏からの情報提供に基づき、イングランドとスコットランドの教育改革の状況の違いや、スコットランドのスクールリーダーにとっての「地域」の捉え方について協議した。また、2019年度は米国担当の分担者によって、同国における都市再開発と学校政策との相互作用にかかわる先行研究の渉猟、整理を踏まえ、科研課題に関わる現地の重要論者の一人であるシートンホール大学のAlexandra Freidus氏との間で協力関係の構築が進められた。これらの活動を通して、次年度以降の現地調査に向けた準備を進めることができた。 また2019年12月19日~21日には第2回全体会を開催するとともに、新潟県上越地方において現地訪問調査を実施した。同一中学校区内における2つの小学校の学校区再編事例、別の中学校区における小学校の統廃合事例を対象として、関係者へのヒアリング並びに関連資料の収集を行い、整理をすすめ、次年度以降の本格的な分析のための準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は以下の計画のもとで研究を進めた。 海外事例研究については、各担当国における事例収集および分析を、研究メンバーがそれぞれの分担に従って進める。本年度中に、ここでの検討に基づいて、次年度以降に実施する訪問調査の対象の選定まで行う。国内事例研究については、年度前半の内に、上越地方の過疎による学校統廃合事例、三陸地方の津波被災による学校統廃合事例等、各担当地域における事例収集および分析を、研究メンバーがそれぞれの分担に従って進める。年度後半においては、上越地方および三陸地方それぞれの調査担当チームごとに、現地訪問調査を計画し、実施する。調査結果については本年度中に分析し、次年度以降の海外訪問調査の計画を立てる上での参考として活用できるように整理する。 実際には、海外事例研究については各研究メンバーが分担にしたがって研究を進め、2回開催した全体会やイギリスよりゲストを招いての研究会を通じて情報交換と比較検討を行うことができた。ただし、現地訪問調査対象の選定については、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況の推移を踏まえる必要から、次年度以降に繰り延べることとなった。国内事例研究については、全体会での議論を踏まえ、三陸地方を調査対象から除き、上越地方に対象を絞ることとし、年度後半には現地訪問調査を実施した。同一中学校区内の2つの小学校の学区再編事例については、検討過程における貴重な資料を入手し、整理を進めることができた。 本年度は研究期間の初年度ということもあり、研究成果の原稿化については未着手であるものの、以上のとおり、おおむね計画に沿って研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度はおおむね順調に研究を進めることができたが、今後については、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大という研究開始当初は予期していなかった事態を踏まえ、状況の推移に即して研究計画を随時柔軟に組み直していく。その前提のもとで、当面、以下の方針に基づいて、研究活動を進める。 海外事例研究については、これまでどおり、各担当国における事例収集および分析を、研究メンバーがそれぞれの分担に従って進める。分析結果についての情報は、各年度2回程度を予定している全体会において研究組織全体で共有し、メンバー間で相互検討を行う。現地訪問調査については、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況の推移に即して、実施の可否、実施する場合の時期、実施できない場合の代替措置の検討を適宜行う。 国内事例研究については、調査対象を上越地方に絞ったことを踏まえ、昨年度中に実施した現地調査での収集資料の分析を国内調査の担当者を中心に進める。分析結果についての情報は、各年度2回程度を予定している全体会において研究組織全体で共有し、メンバー間で相互検討を行う。 なお、2020年度については、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を踏まえ、研究メンバー間のコミュニケーションは全体会も含め、すべてのオンラインで行う予定であるが、オンライン・コミュニケーションの利点を活かし、意見交換の場を全体会の機会に限らず、メンバー相互の研究交流の頻度を上げることで、比較研究としての考察を深めてゆくこととする。 研究成果については、現下の状況にあって関連する学会の大会の開催中止が相次いでいることから、当面は学会での口頭発表ではなく論文投稿を中心に行うことを目指す。また、2021年3月には中間報告書の作成し、研究成果の着実な公表を進める。
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Research Products
(3 results)