2020 Fiscal Year Annual Research Report
新教育基本法の比較教育法制研究をふまえた現代立憲主義に基づく逐条解釈
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19H01624
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
世取山 洋介 新潟大学, 人文社会科学系, 教授
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 不当な支配 / 教育基本法 / 新自由主義 / 給特法 / 文科省新型コロナ指針 / 休校措置 / 感染防止対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究分担者(今野)は、新教育基本法の第5条1項および第16条1項の注釈を担当するものとされ、それぞれについて草稿を作成し、研究組織内での数次の検討を経て、徐々に内容の錬磨を図った。 現行の教育基本法の現代立憲主義に基づく逐条解釈のあり方を探求することを主目的とした本研究課題のうち、分担研究者の高橋哲(埼玉大学)においては、学校教員の身分保障、待遇の適正に関する法制度と判例動向に関する研究を遂行した。特に、近年、社会問題となりつつある教員の多忙化をめぐる法制度、判例、そして政策に関する検討を行い、これを解消するための立法政策の在り方を日米比較の観点から提示した。また、本研究課題の成果である新教育基本法コメンタールの出版企画、編集作業に従事した。 本年度においては、現行の教育基本法の現代立憲主義に基づく逐条解釈のあり方を探求することを主たる目的にした本研究課題のうち、分担研究者である中川律(埼玉大学)は、特に、教育条件整備法制と教育財政法制に関わる教育法制の歴史的分析を進め、一部を論考として発表しつつ、次年度の書籍出版に向けた準備作業にも従事した。また、関連して、新型コロナウイルス感染症の蔓延下における教育条件整備のあり方も考察し、論考としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、本研究がめざす現代立憲主義に立脚する法解釈論の諸論点に関する認識を深める必要が新たな文脈から提起された。すなわち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)を背景として行われた休校をはじめとする措置は、感染症対策を行いながらも同時に教育の権利が保障されなければならないことの根拠、保障されるべき権利の内容、そのための方法等に関する検討が不可避であることを明白にした。このような情勢に対応するため、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う教育法的問題を検討するため、2回の研究会を開催した(第1回研究会 : 2020年8月29日、報告 : 谷口聡「新型コロナウイルス関連政策の情勢分析」、植野妙実子「緊急事態宣言の憲法学的考察」ほか。第2回研究会 : 2020年10月24日、報告 : 谷口聡「新型コロナに関わる教育法的問題」、中川律「学校教育内容に関する文科省の新型コロナウイルス対応通知の批判的検討」、村元宏行「学校保健安全法と感染症対策」、光本滋「新型コロナと高等教育問題」ほか)。 新教育基本法の逐条解釈論研究は、各研究分担者がそれぞれについて草稿を作成し、研究組織内での数次の検討を経て、徐々に内容の錬磨を図っている。また、研究代表者は総説「新教育基本法の位置と解釈」の執筆を進めている。各研究分担者の研究成果を含んだ論文、書籍の刊行も企画されている。教育基本法16条の不当な支配、14条の党派的教育の禁止を念頭にした教師の教育の自由に対する補助教材の影響の考察(安原)、教員の多忙化をめぐる法制度、判例、政策に関する検討(高橋)、教育条件整備法制と教育財政法制に関わる教育法制の分析及び関連する教育基本法の条項の解釈に関する考察(中川)等である。なお、新教育基本法コンメンタールの刊行時期は当初2020年度中を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の大流行の影響などにより2021年度まで延期することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
新教育基本法コンメンタールの編集は進捗中であり、刊行後には書評会の開催などコンメンタールに関係する研究会を行う必要がある。また、コロナ禍における教育人権保障の課題や、GIGAスクール構想の法的問題点の他、小学校における35人以下学級の実施の実態をフォローするなど、新しい状況のもとで新教育基本法がどのように機能するのかを検討する必要もある。このような理由から、研究代表者・研究分担者により適切な役割分をしながら研究会を継続的に開催していく。そのための研究組織として、日本教育法学会に設置された新教育基本法法制研究特別委員会を活用する。 新型コロナウイルス感染症の大流行は、対面での研究会の開催を不可能にするなど大きな困難とともに、オンライン会議の急速な普及という技術革新をもたらした。オンライン会議は上記のような研究会の開催にも利用できることから、2020年度はその積極的な活用を図った。研究の推進方策としては、研究組織のメンバーの自宅等、研究場所に必ずしも整っているとはいえない通信環境の改善、機材の整備を行う必要がある。これに併せて、備品費・旅費等、研究費の執行のあり方を適切に見直していく。
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Research Products
(11 results)