2020 Fiscal Year Annual Research Report
A cross-disciplinary study of inequality using data from a panel survey of parents and children
Project/Area Number |
19H01637
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 渉 立教大学, 社会学部, 教授 (00403311)
田淵 貴大 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター疫学統計部副部長 (20611809)
川田 恵介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40622345)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | パネル調査 / 健康 / COVID-19 / 学校生活 / 学歴 / 教育格差 / 社会調査 / 社会階層 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで本研究は2015年,2017年,2019年と第3波まで子どもと母親を対象に調査を行ってきたが,2020年12月には第4波の調査を子どものみに対して行った.調査はCOVID-19の第3波が深刻化した時期であったため,いくつかのコロナウイルスに関する項目を追加した.2021年2月までに,1,188名の子ども対象者からの回答が得られた.分析に関しては,これまで収集したデータを用い,19・20歳の若者に対してCOVID-19が与える影響について分析を行った.その結果,(1)仕事については,COVID-19は学生の働き方(アルバイト)に特に大きな影響を与えていることが明らかになった.(2)教育については,学校や授業についての否定的な回答が増加し,それは授業の方法によって大きく変化はなかった.(3)健康については,特に女性で精神的健康状態が悪化していることが示された.また,多くの対象者が学校在学中であることから,学校での感染リスクがどのような要因によって影響を受けるのかについて分析を行い,全体として学校におけるCOVID-19の感染リスクを相対的に高く考えているが,女性のほうが,そしてメンタルヘルスの状況が悪いほうが,そのリスクに対する警戒感が強いことなど明らかになった.さらに,精神的健康状態について,成長曲線モデルを用いた分析を行い,COVID-19が精神的健康状態に与える影響について様々な要因を検討した.分析の結果,そもそものパーソナリティーや健康状態などは初期のメンタルヘルスと関連しているものの,その悪化とは関連しておらず,幅広い人々に対してメンタルヘルスの悪化がみられることが確認された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスが調査に与える影響が心配されたが,7月にも調査を行い,定期的にコンタクトを取ることで,2020年12月の調査では2019年12月の調査よりも高い回収率となった.またコロナウイルス関連のデータを取り,さらにこれまでの調査で得られた情報の利点を活かすことで,関連した論文3本を執筆できた(1本は本年度報告,2本は次年度報告予定).また本データを用いた研究が国内外の査読付き雑誌で2本報告された.
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年12月も新型コロナウイルスの影響を踏まえつつ,同様の調査を行い,1,000人以上からの回収を目指す.また,当初課題の遂行に加え,今後の調査においては,コロナウイルスの影響も考えた設計を行うことが必須となるが,すでに国内外の様々な文献についてレビューを行うことができており,それらを踏まえた課題なども新たに検討する.特に大学生は就職活動などがはじまるので,就職活動やその準備などについての質問項目を新たに加える.大規模調査は2021年12月で終了となるが,調査の利点を活かし,その後の継続の方法についても検討する.パネル調査は調査とデータの整理や管理に大きな労力が必要となるが,今年度と同様にさらなる論文化を目標とする.
|