2019 Fiscal Year Annual Research Report
木材加工における仮想現実を用いた疑似体験による巧緻技能の獲得
Project/Area Number |
19H01674
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
橋爪 一治 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (70709740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊賀崎 伴彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70315282)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 木材加工 / 手工具 / 技能訓練 / 巧緻性 / 木材切断技能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につける」ため,学習者に「巧緻な技を自身が行っている仮想体験」をさせ,経験による技能習得を目指すことである。この目的を達成するため,日本の伝統的な木造建築技術等を支えてきた一流の職人の巧緻技能の感覚(視覚や力覚,触覚等)を360度映像や力覚デバイス等で記録し,記録した巧緻技能を,最新のVR(仮想現実)技術等の再生装置で再現する。そして,再現した巧緻技能を用いて,学習者に対し,あたかも自分自身が熟練者に成り代わって熟練の技を振るっているかのような体験をさせる。この通常では得られるはずのない巧緻技能の感覚を,体験することによって習得させるよう計画している。このように,本研究が目指すのは,最新機器を用いた,これまで実現できなかった全く新しい教育方法の開発である。 このため,視覚,力覚,聴覚の各感覚を再現する装置の開発が重要となる。このうち,それぞれの感覚に必要な装置の導入を終えた。また,特に力覚を再現させるシステム開発が課題であるが,ハード面では,この本研究費により,力覚デバイスの導入が完了した。現在は,ソフト面の開発を急いでいるところである。 また,本研究には,被験者の確保が欠かせない。このため,工業高校にある建築科の中でも,技能者を育成している伝統建築科のある熊本県立球磨工業高等学校の全面的な研究協力を得た。そこで,木材加工の巧緻性を身につけようとする学習者と,すでに現場で活躍している技能者など,技能歴の違いによる特徴量の比較と,初学者自身の技能訓練期間の経過による特徴量の変化の追跡調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,「誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につける」ため,学習者に「巧緻な技を自身が行っている仮想体験」をさせ,経験による技能習得を目指すことである。この目的を達成するため,日本の伝統的な木造建築技術等を支えてきた一流の職人の巧緻技能の感覚(視覚や力覚,触覚等)を360度映像や力覚デバイス等で記録し,記録した巧緻技能を,最新のVR(仮想現実)技術等の再生装置で再現する。そして,再現した巧緻技能を用いて,学習者に対し,あたかも自分自身が熟練者に成り代わって熟練の技を振るっているかのような体験をさせる。この通常では得られるはずのない巧緻技能の感覚を,体験することによって習得させるよう計画している。 本研究には,被験者の確保が欠かせない。このため,現在までに,工業高校にある建築科の中でも,技能者を育成している伝統建築科のある熊本県立球磨工業高等学校の全面的な研究協力を得た。 そこで,研究を推進するに当たり,従来の指導法で,学習者が訓練期間とともに,どのように巧緻性が向上するのかを検討する必要がある。また,熟練者と初学者では,技能歴の違いによって,巧緻性がどのように異なるのかを検討する必要がある。現在までに,この2点を検討した。分析は,ノコギリ引き中の動きの加速度・角速度データを分析することによって行った。その結果,姿勢,肘の安定,手首の安定に顕著な違いや成長がみられることが明らかとなった。 併せて,研究の目的を達成するためには,視覚,力覚,聴覚の各感覚を再現する装置の開発が重要となる。このうち,それぞれの感覚に必要な装置の導入を終えた。また,特に力覚を再現させるシステム開発が課題であるが,ハード面では,この本研究費により,力覚デバイスの導入が完了した。現在は,ソフト面の開発を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,研究を推進するに当たり,従来の指導法で,学習者が訓練期間とともに,どのように巧緻性が向上するのかを検討する必要がある。このことに関して,研究開始から1年間について学習者の巧緻性の状況を把握した。しかし,通常2~3年程度長期的に計測しなければ,技能の上達や特徴の向上が顕著にならない。このため,引き続き,現在の被験者を定期的に測定し,長期的な技能向上の状況を分析する。 併せて,本研究の目的である「誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につける」ため,学習者に「巧緻な技を自身が行っている仮想体験」をさせるシステム開発を達成するためには,視覚,力覚,聴覚の各感覚を再現する装置の開発が不可欠である。これまでに,それぞれの感覚に必要な装置の一応の導入を終えた(必要に応じて追加する予定である)。中でも,特に力覚を再現させるシステム開発が課題であるが,ハード面では,力覚デバイスの導入が完了しているため,ソフト面の開発を重点的に行いたい。さらに,各感覚を再現するための,熟練者の技能を記録する予定である。すでに,複数の熟練者から,研究協力の確約を得ているため,記録できる感覚については,早期に記録の実施を行う。
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Research Products
(4 results)