2020 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical study of the effects of student financial aid
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19H01686
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
小林 雅之 桜美林大学, 総合研究機構, 教授 (90162023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴澤 泰男 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (00511966)
濱中 義隆 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (10321598)
藤森 宏明 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (20553100)
江原 昭博 関西学院大学, 教育学部, 准教授 (20614960)
谷田川 ルミ 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20624266)
吉田 香奈 広島大学, 教育本部, 准教授 (30325203)
日下田 岳史 大正大学, その他部局等, 専任講師 (30734454)
浦田 広朗 桜美林大学, 大学院 大学アドミニストレーション研究科(通信教育課程), 教授 (40201959)
王 帥 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40743422)
白川 優治 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (50434254)
岩田 弘三 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (70176551)
米澤 彰純 東北大学, 国際戦略室, 教授 (70251428)
島 一則 東北大学, 教育学研究科, 教授 (70342607)
王 杰 (王傑) 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 特任講師 (80432037)
田村 恵美 東京家政大学, 家政学部, 期限付講師 (30847950)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 授業料 / 学生支援 / 金融教育 / 修学支援 / student aid / 情報ギャップ / 金融リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
4回の研究会他、個別の打ち合わせを実施した。主な研究実績は以下の通りである。 (1)日本における学生への経済的支援の現状の分析 現在の日本における学生への経済的支援(以下、学生支援)の状況について、とくに大学等修学支援法について、その内容や政策決定過程を分析した。さらに、コロナ禍に対する学生の支援について学生の状況や文部科学省の対応を検討し、これらに基づき、課題を論文や新聞記事等として公表した。また、大学等修学支援法では、4年以内に制度の見直しを図ることが附則で明記されている。このためには、奨学金の効果検証がきわめて重要である。これをふまえ、奨学金の効果検証と高校生と保護者の情報ギャップの実態を明らかにするために、2020年12月に高卒者保護者調査を実施し3,124名から回答を得た。この調査結果と、文部科学省と国立教育政策研究所の調査について国立教育政策研究所研究会で比較検討し、さらに今後の分析の進め方について検討した。 (2)学生支援の効果と情報ギャップに関する資料の収集、整理 アメリカにおける学生支援(給付型奨学金と貸与型奨学金(学資ローン)やキャンパス・ワークスタディ(学内アルバイト))や情報ギャップが進学(進学先の高等教育機関、専攻など)、学生生活(アルバイト、単位取得など)、卒業(学位取得)、貸与奨学金の返済、卒業後の生活(結婚、持ち家等)に与える影響に関しては、膨大な先行研究が蓄積されている。これらの先行研究をレビューし、奨学金の種類や情報ギャップの程度と学生の特性(低所得層、人種など)の組み合わせによって影響の程度が異なることが明らかにされていることや、特に、アメリカでは、擬似的実験法や不連続回帰など、分析方法が精緻化していることは、日本で研究を進める上で大いに参考になることを確認した。これらの点について、研究会で報告検討するとともに、論文として刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のレビューにおいて、奨学金の効果検証のために情報ギャップの分析が重要であることが示された。文部科学省・国立教育政策研究所と日本学生支援機構調査の分析は順調に進んでいるが、アメリカの先行研究と比較すると、効果検証と情報ギャップに関する調査項目が少ないため、独自に高卒者保護者調査を実施し、結果を分析中である。特に修学支援新制度の創設以前の2016年度の進学状況と創設された2020年度の比較について、データを精査しつつ検討している。 さらに、コロナ禍のため、アメリカやイギリスなどの学生支援に関する海外現地調査はもともと次年度以降に延期し2020年度は実施しないこととし、学術論文やインターネットによる資料収集で先行研究をレビューし、効果検証に関する実証的な分析手法や検証結果を検討し、上記の高卒者保護者調査に適用することとした。また、具体的な奨学金の効果検証の事例研究として保育士に対する調査の可能性を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
奨学金の効果検証や情報ギャップについては、さらに先行研究のレビューを進め、調査実施のための手法を開発する。とりわけ、情報ギャップについては、アメリカで多くの研究が蓄積されているが、海外現地調査については、コロナ禍の状況で渡航も制限されることから、令和2年度についても実施せず、延期し、インターネットや学術誌などの資料によって検討することとした。アメリカでの研究に比べると、日本では、情報ギャップについて申請者らによる全国高校調査以外にほとんど研究例がない。また、この高校調査は、機関に対する調査であり、高校生や保護者など個人を対象としたものではないため、令和2年度は、高卒者保護者調査を実施した。しかし、これまでの検討から、学生支援について、とりわけ金融リテラシーについては、高校以前の生徒や保護者にギャップがあることが予想されるが、これまで中学生や保護者を対象とした調査は申請者が2015年に実施したが、6年が経過していることと、質問項目が限定されている。また、文部科学省・国研や日本学生支援機構の調査では、また、それぞれの機関による調査のため、個別データの利用には制限がある。このため、独自に情報ギャップや新制度の認知度に関して中卒者保護者調査を実施する予定である。 高等教育機関の学生支援に関する調査として、既に私学高等教育研究所の調査がなされているが、これに加えて国立大学協会や私立大学連盟も修学支援新制度の現状と個別大学の学生支援への影響を調査する予定であり、これらの調査とも連携して研究を進める。 また、保育士に対する奨学金の効果検証の可能性について、引き続き検討する。 これらの調査結果により、従来の学生支援制度や大学等修学支援制度の改善に資する方策を検討する。
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Research Products
(6 results)