2019 Fiscal Year Annual Research Report
運動・感覚処理の特異性を示す人の認知特性の解明と支援法の検討
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19H01695
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
片桐 正敏 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00549503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 拓志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70614353)
池田 千紗 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90580051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協調運動 / 感覚処理特性 / バーチャルリアリティ / 高い知能 / ギフテッド / 自閉症スペクトラム障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に実験機材の選定とその整備を行い,これまでの研究成果についてまとめる作業を行った。 VRを用いた実験については東京大学の鳴海准教授の研究室にて打ち合わせを行い,実際の実験の手続きについて検討を行った。VR機材の選定および購入についてもアドバイスを受け,環境の整備を行った。次年度については実際に自閉症スペクトラム障害など協調運動の困難さを抱える児童生徒に対してVRを用いた運動介入実験を行う予定である。 今年は特にパイロット的に実施した伴ら (2012) のビデオシースルーシステムを用いた「視覚―触知覚」統合処理実験を自閉症スペクトラム障害のある当事者で実施した。その結果,曲面形状における視覚-触覚間の統合処理に困難性を抱える可能性があることが示された。しかし質問紙調査では自閉症スペクトラム障害の特性が低いという結果になった統制群の中でも特徴のある回答を示す参加者や、臨床群で自閉症スペクトラム障害の特性が高い参加者の中でも斜面形状と曲面形状のすべての試行で視覚が優位にはたらいている参加者もいたことから,形状知覚における統合処理は個人差が大きくASD特性の高低が視覚-触覚間の統合処理に直接的に影響を与えるとはいえないと考えられる。 高い知能を有する子どもへの研究については,調査データなどの分析を行い,研究会を主催し研究発表を行った。校知能の子どもは,比較的協調運動などの問題を有しているほか,顕著であったのは感覚処理特性の特異さが認められることであった。次年度に向けて,彼ら・彼女らの感覚処理特性の問題と認知特性などの関係を心理実験や脳機能計測などで明らかにしてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は特に高い知能を有する子どもへの調査研究およびパイロットスタディをメインに実施することができた。実験環境などの整備も終わり,次年度から本格的に実験を開始することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究進捗を踏まえ,2年目はVRを用いた実験について,自閉症スペクトラム障害や発達性協調運動障害のある人の協力を得て,まずは事例研究を中心として本格的に実施する。これらの事例研究に基づき,教育現場への応用可能性について,さらなる検討を行う。協調運動に関する調査研究などもまとめ,学会誌などに発表することを予定している。 高い知能を有する子どもへの研究については,本格的に協調運動や感覚処理特性と実行機能との関係について心理実験,および脳機能計測を用いた実験を行う。
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Research Products
(11 results)