2020 Fiscal Year Annual Research Report
運動・感覚処理の特異性を示す人の認知特性の解明と支援法の検討
Project/Area Number |
19H01695
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
片桐 正敏 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00549503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 拓志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70614353)
池田 千紗 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90580051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不器用 / 粗大運動 / 微細運動 / 仮想空間 / クロスモーダル / 発達障害特性 / ギフテッド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ギフテッドおよび発達障害特性の中でも特に運動や感覚処理の特異な特性を活かし,対処可能な支援法を検討することにある。これまでの研究では,新型コロナウイルス感染症のため,実験の予定を繰り下げたり,調査研究に切り替えるなどして予定をかなり変更した形で実施した。また仮想空間での実践応用のベースとなる基礎研究を中心に行い,事例研究を重ねてきた。 片桐は,幼児期の不器用さが小学校においてどういった問題が生じるのかを縦断データを用いて検討を行った。その結果,微細運動の苦手さは小学校において学業成績と密接に関係があり,粗大運動の苦手さは友人関係問題と密接に関係すること,微細運動と粗大運動双方とも情緒的な問題と関係があり,それらは6年間一貫して認められることを明らかにした。協調運動障害のある生徒に対する書き指導において,VRを用いて指導を行った結果,指導効果が一定程度認められた。まだ予備的検討であることから,今後より具体的支援法につなげる検討を行う必要がある。ギフテッドの研究では,親の会であるギフテッド応援隊と共にギフテッドの感覚処理の問題や生きづらさに焦点を当てて,これまでの研究成果を盛り込んだ一般向けの啓蒙書を出版した。 鳴海は,仮想現実を用いたクロスモーダル研究を行い,アバターの動きを予測できる場合には,自分の主体性感覚を著しく過大評価することを報告した。この研究は,仮想現実を利用したトレーニングやユーザーが仮想の身体を共有する共同遠隔操作の分野,教育的な応用などに広がる研究である。 池田は,主にケーススタディから粗大運動の苦手な子どもへの訓練,具体的には縄跳びや鉄棒の訓練効果について検討を行った。今後実空間から仮想空間でのトレーニングに対して検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスの関係で実験がほとんど困難であった。そのため2021年度に実験を一部繰り越したり,これまでの研究成果をまとめ,発表することに注力した。しかしながら,2021年度もコロナウイルスの感染拡大により,研究協力者との実験が難しく,調査研究に切り替えたり,一部の実験を除きVRを用いたケーススタディなどに切り替えて,研究活動を継続した。その結果,当初計画していた実験が難しくなった一方で,基礎的な研究については一定の積み上げが出来た。加えて,少数ではあるが,事例研究を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,新型コロナウイルスの状況が改善する見込みは少ないようなので,実験が難しい状況にある。しばらくは大人数での実験研究を控え,事例研究を中心に仮想空間を用いた支援法の検討を行いたい。感染状況の落ち着きを見計らって,実行機能の評価と感覚処理特異性について実験的検討を行う。研究協力者であるギフテッドの親の会「ギフテッド応援隊」の協力を得て,実験参加者を募り,実験を行う予定である。
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Research Products
(20 results)