2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Comprehensive Assessment and Construction of Curriculum Model for children with Visual Impairment
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19H01696
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐島 毅 筑波大学, 人間系, 准教授 (20241763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 奏子 宇都宮大学, 教育学部, 助教 (20844799)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚障害児 / 包括的アセスメント / カリキュラムモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚を用いることを前提とする発達検査・知能検査は視覚障害児に適用できない。このため視覚情報なし動作や空間をイメージ化する盲児の発達を的確に評価する指標が必要である。本研究は、これまでの視覚障害幼児・児童を対象とした視機能評価、発達評価、教材教具開発に関する研究成果に基づき、視覚障害児のための視機能評価、認知機能の評価、ADL評価および、空間認知と移動・歩行能力評価ツールを開発し、包括的アセスメントシステムを構築することを目的とした。本年度は、視覚障害児のためのアセスメントおよびカリキュラムに関する基礎的調査研究として、以下の2つの研究を実施した。 発達的視点に基づく視覚障害教育カリキュラムの内容に関する文献的研究では、視覚障害教育カリキュラムの具体的内容の根拠である学習指導要領の教科教育の指導上の配慮に関する項目および視覚障害自立活動の指導に関する文献、具体的指導指針の源流である1960年代から文部省が作成した「指導書」等の教育関連資料を収集し、発達的観点から整理した。また、海外視覚障害教育カリキュラム調査研究では、重複障害教育を含めた視覚障害教育カリキュラムの構造・具体的内容と多様な実態に応じたアセスメントから実践の展開について資料収集を行うと共に、視覚障害児用包括的アセスメントツール開発研究にかかる予備的研究を実施した。 今回の成果に基づいて、次年度以降、これまでの研究において試作・開発した教材教具によるアセスメントツールの開発研究の展開が可能となった点は意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ポーラン、ドイツ、オランダの盲学校および視覚障害支援センター、視覚障害教育養成大学等実地に調査し、当初の予定以上の成果を得ることができた。特に、オランダの盲学校2校、重複障害の学校の視察・調査を行った。また、オランダの盲学校と重複障害の学校において、研究報告・協議を行った他、Radboud University Nijmegenの視覚障害関係研究者等と相互に研究交流を行うとともに、視覚障害児の発達評価等に関するディスカッション・ワークショップを行った点は、大きな成果である。次年度以降実施予定のアセスメントツールの開発において活用する予定である。また、これまでの研究において試作・開発した教材教具を中心に、ホームページを作成・公開をするなど、予定していない成果もあった。 3月に実施予定であった海外調査は、新型コロナウイルス感染症の拡大のため中止せざるをえなかったが、次年度以降に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の予定とおり、発達的視点に基づく視覚障害教育カリキュラムの内容に関する文献的研究において発達的観点から整理した資料に基づいて発達実態把握チェックリストを作成し、教育現場において実証的に活用・評価を行う。また、海外視覚障害教育カリキュラムおよび教材に関する調査研究はを継続し、オランダ、スペイン、オーストラリアの盲学校および視覚障害支援センター、視覚障害教育養成大学等を実地に調査し、重複障害教育を含めた視覚障害教育カリキュラムの構造・具体的内容と多様な実態に応じたアセスメントから実践の展開について明らかにする予定であるが、当面は新型コロナウイルス感染症の拡大の状況を勘案し、柔軟に対応する予定である。 視覚障害児用包括的アセスメントツール開発研究では、これまでの研究において試作・開発した、①はめ込み構成課題、②立方体構成課題、③ブロック構成摸倣課題にくわえて、新たに④はめ板弁別課題、⑤入れ子系列化課題、⑥平面触覚構成・認知課題からなる視覚障害児動作性認知能力評価ツールを視覚障害幼児・児童、知的障害を伴う視覚障害児に適用し、量的な研究および課題解決の質的観点から、各評価表の指導段階・系統性について検証する予定である。
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