2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Comprehensive Assessment and Construction of Curriculum Model for children with Visual Impairment
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19H01696
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐島 毅 筑波大学, 人間系, 准教授 (20241763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 奏子 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (20844799)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚障害児 / 包括的アセスメント / カリキュラムモデル / 発達段階 / 指導法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続き、視覚障害児用包括的アセスメントツール開発研究を実施した。枠入れ立体構成課題を立案し、9課題の課題達成率の分析および未達成課題の誤答時の行動観察から課題順序性について予備的に検討し、4要素以上で異形の組合せの課題において難易度が質的異なることが示唆された。 論理的な思考や数の理解の発達に関わる重要な概念の形成につながる系列化課題に関する研究では、触運動感覚に依拠した課題を考案し、その難易度について検証を行った。具体的には、Piaget の代表的な系列化課題は 10 本の棒を視覚的に比較参照して並べる課題で盲幼児児童には適さないことから、重ねることで順番の正誤がフィードバックされる入れ子課題を用いて系列化課題を作成し、入れ子課題遂行時の盲幼児児童の方略を分析することで、触運動感覚による系列化課題の発達段階を検討した。盲幼児児童の系列化に関する評価と指導に資する一定の結果が示された。 初等教育の教科学習では、その活用が思考活動の深化において必須である「道具」に焦点をあて、弱視児童における道具の操作の困難と工夫に関する研究を行った。弱視教育に長年携わる弱視通級指導教室担当教員を対象に面接調査を実施し、弱視児における道具の操作の困難および指導の工夫は多様であること、弱視児童における道具の操作の指導においては個別に弱視児童の見え方やどのような道具の操作の困難があるか等の評価が重要であることが示唆された。 はめ板弁別課題、平面触覚構成・認知課題については試作・開発を行うとともに、これらを含めて製品化に向けた取り組みを行った。加えて、触運動感覚による凸線迷路課題に関するパイロットスタディーを実施し、視覚に依拠しない触運動感覚に適した課題の試作と、課題難易度に及ぼす基礎的要因を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
視覚障害児用包括的アセスメントツール開発研究において、当初予定していた立方体構成課題に加えて新たに、はめ板弁別課題、入れ子系列化課題、平面触覚構成・認知課題に関する研究を計画したが、それぞれについて一定の進捗がみられた。入れ子系列化課題については基礎的実験研究を行い、学術誌に論文を投稿中である。また、当初予定してなかった触運動感覚による凸線迷路課題に関するパイロットスタディーを実施する等、順調な進捗がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き触運動感覚による凸線迷路課題の課題難易度検証の実験研究を行う。加えて、盲ろう児の概念形成とコミュニケーションにかかる新たな研究の展開に向けて、盲ろう児の発達的視点に基づく評価に関する研究を実施する。海外視覚障害教育カリキュラムおよび教材に関する調査研究は、海外の盲学校および視覚障害支援センター、視覚障害教育養成大学等を対象に、重複障害教育を含めた視覚障害教育カリキュラムの構造・具体的内容と多様な実態に応じたアセスメントから実践の展開について明らかにする予定であるが、コロナウイルス感染症の拡大の状況により実地調査とするか否か、柔軟に検討する。加えて、盲ろう児の概念形成とコミュニケーションにかかる新たな研究の展開に向けて、盲ろう児の発達的視点に基づく評価に関する文献的研究および、盲ろう児の指導を担当した経験を有する教員を対象としてコミュニケーション評価に関する面接調査を実施する。調査内容は、the Communication Matrix(Rowland,2009)を参考に発達段階に応じた指導上の工夫に関するものとし、Web会議ツール「Zoom」も活用して行う予定である。 これまでの研究成果を踏まえて、開発した評価方法に基づく指導段階・系統性の観点からのカリキュラムモデルを作成する。それらについて、学会発表ならびに論文投稿をすすめるとともに、その成果を盲学校等に広く普及を図る。
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