2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Longitudinal Study of Support for Children Born After the Disaster and their Families.
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19H01704
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
八木 淳子 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80636035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝屋 二郎 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70349504)
福地 成 (福地成) 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50641958)
松浦 直己 三重大学, 教育学部, 教授 (20452518)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / トラウマ / 母子メンタルヘルス / 早期発見・早期支援 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)調査と支援:被災3県(岩手・宮城・福島)の小学2年生(223名)とその保護者に郵送によるアンケート調査を実施し、フォローが必要な子ども・保護者に対し電話・訪問によるフォローアップを行った。また、ハイリスクな子どもに対しては、定期的な医療受診や専門機関への通所により医療的観察を行い、ハイリスクな徴候を示す保護者には、フォローを継続し必要に応じて適切な医療的措置を提供した。 (2)心理教育・養育支援プログラムの開発と提供:「みちのくコホート・ケアキャラバン」と題して、各県の保護者を対象に、研究代表者・分担者(児童精神科医)による心理教育・養育支援を提供する機会を設定し、保護者の養育不安の軽減を図り、双方向性のコミュニケーションから得られるナラティブとその評価も併せて実施した。岩手県においては2会場計16 名、宮城県においては2会場計13 名の養育者が参加した。福島県については新型コロナウィルス感染症の全国拡大により開催中止となったが、実施後アンケートでは多くの好意的な評価(高い満足度)を得られ、参加型・双方向交流型の支援について多数の高評価が得られた。本調査においては、対象児童の認知機能改善が年次的に認められており、個別支援と共に、参加型・双方向交流型の支援も継続することが、調査対象者への参加動機づけや調査継続性に資する可能性がある。 (3)成果の発表と関連する情報収集:2月に宮城県仙台市において広く一般に研究成果を発表するためのシンポジウム「子どもの育ちを支える地域づくりシンポジウム~みちのくこどもコホートからみえること」を開催し、参加者アンケートでは今後の報告にも期待するなどの声が多く聞かれた。また、学術誌では、神経精神学雑誌(InPress)特集ページにおいて、研究代表者、八木が本研究について執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子どもの行動上の問題(CBCL)や保護者のメンタルヘルス(K6、IES-Rなど)に関するアンケート調査を継続実施し、コホートの捕捉率は76%に保たれている。 保護者への子育て応援企画として、岩手・宮城・福島の被災地において「MiCCaケアキャラバン」を企画し、岩手県16名、宮城県13名の保護者が参加した。実施後のアンケートでは、高い満足度と好意的な評価が得られ、参加型・双方向交流型の支援が、研究への参加の動機付けや保護者同士のつながりを促進する役割を果たしたと考えられた。福島県については、COVID-19 の流行により開催中止となったが、養育相談のアンケートを実施するなどしてフォローアップした。 研究の進捗状況を対象者に報告するニュースレターを発行し、HPにアップするなどして対象者とのコミュニケーションを良好に保つよう努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降も研究計画に従って、調査と支援を継続する。 【アンケート調査】保護者に対して郵送によるアンケート調査を実施する。子どもの基本情報は2019年版と同様の内容で保護者に回答を求める。保護者自身のメンタルヘルスについては2018年版と同じ内容とする。学校への調査は、担任教師に対してTRF(CBCL)とSDQのみを実施する。【面接調査】子どもに対しては、WISC-Ⅳをフルスケールで実施する。保護者に対しては、MINI(構造化面接)と子育て相談(発達相談)を実施し、必要に応じてフォローアップする。【スケジュール】2020年度内に調査(アンケート・面接ともに)を終える予定とする。COVID19関連の情勢を見極め、アンケート用紙を発送(各県の事情に合わせて調整)し、現地調査(面接)の日程調整をする。データ入力は次年度4月を目途に終了する。【フィードバックとフォローアップ】全対象者に子どもの検査結果のフィードバックを行い、例年のフォローアップ手順を実行する。ハイニードの子ども・保護者には、学校との情報共有のうえ支援介入を計画実施する。【成果発表予定】国内の複数の学会にてシンポジウム形式の発表を計画する(※COVID-19の影響により、学会開催が中止・延期となる場合も想定される)。追跡調査の結果を論文にまとめ投稿する。 ※今般のコロナ禍では、対象児童の学習環境およびその家庭を取り巻く経済環境の変化にも十分に配慮し、調査時期を慎重に見極めた上で、岩手・宮城・福島、各県の調査責任者の判断で、調査を実施する予定である。今後は、大震災後長期経過における、より有効な保護者支援の方法を見出し、子どもの健やかな発達促進に向け、学校や地域の支援機関との一層の連携強化に努めることが肝要である。
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Research Products
(26 results)