2019 Fiscal Year Annual Research Report
教育補助者の熟達を評価する行動記録システムの開発と組織的運用による成長モデル構築
Project/Area Number |
19H01710
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
江木 啓訓 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30422504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿本 弥生 東京大学, 教養学部, 特任准教授 (40508397)
岩崎 千晶 関西大学, 教育推進部, 准教授 (80554138)
尾澤 重知 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (50386661)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育学習支援システム / 教育補助者 / ウェアラブル / ルーブリック / 行動変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
アクティブラーニングに代表される学習者の主体的・能動的な取り組みを深化させるには,TA, LA, メンターなどの教育補助者の協力が不可欠である.教育補助者の活躍に資する研究として,「教育補助者の熟達をはかるための,行動を記録して熟達を評価するウェアラブルシステムの開発」と,「教育補助者の行動と熟達に関する教員・学生・教育補助者自身の意識調査に基づいた,ルーブリックと成長モデルの構築」に取り組んでいる. 行動を記録して熟達を評価するウェアラブルシステムの開発に関して,本研究以前に開発してきたウェアラブル対話分析システム,TA支援システムで得られた知見を活用して,教育補助者の行動を記録するウェアラブルシステムを作製した.ウェアラブルカメラとマイク,加速度センサとワンボードコンピュータを身につけることにより,教育補助者の教室内での視野映像,発話内容,機械学習に基づく身体状態の推定,およびタッチパネルインタフェースによる自己評価の即時記録を実現している.自己評価については,自己効力感の評価尺度を参考に,教育補助者固有の自己効力感尺度を検討して入力項目を決定した.開発したシステムを研究代表者が運営する「基礎プログラミングおよび演習」の教育補助者の協力のもと実践した.また,研究分担者が担当する「ピアチューター・トレーニング」において教育補助者の研修においても利用し,意見の収集と改良の検討を行った. 教育補助者の行動と熟達に関する教員・学生・教育補助者自身の意識調査に基づいた,ルーブリックと成長モデルの構築に関して,初年次教育のTAおよび学習支援チューターを対象として,組織的な質問紙調査およびインタビューを実施した.学生が教育補助者から受ける支援への意識,教育補助者の学生観および支援行動への意識について収集するとともに,その結果について検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教育補助者の行動を記録するウェアラブルシステムの開発を進めた.また,教育補助者の行動と熟達に関する教員・学生・教育補助者自身の意識調査を実施した.しかしながら,新型コロナウィルスの感染拡大によって,実施を予定していた成果発表およびワークショップが中止となり,成果についての検討やシステムとモデルの統合に向けた議論を十分に進められていない状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,対面環境における集団学習の支援を対象としている.新型コロナウィルスの感染拡大によって,オンライン学習への急激な転換が進められるとともに,長期化の傾向にある.研究代表者および研究分担者の全員が,所属機関におけるオンライン学習の基盤設計および実施の中心的な役割を担っている.対面学習環境における研究および教育実践の実現性が見通せない中で,システム開発と基礎評価,および教育補助者の学習支援に関する普遍的な事項の調査から進めていく. 複数の機関において行動記録システムの組織的な運用を行い,教育補助者の熟達をルーブリックおよび成長モデルと照合することを計画していた.開発した行動記録システムの有用性と,教育補助者の振り返りと行動変容を促すことができたかを,教育補助者を活用したアクティブラーニング実践の専門家による相互観察によって検証する予定であった.これらについては,新型コロナウィルス感染収束の状況をみて実施内容を再検討する.
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Research Products
(22 results)