2021 Fiscal Year Annual Research Report
高大接続・トランジションを見据えた高校IRとカリキュラムアセスメントの開発
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19H01722
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
溝上 慎一 桐蔭横浜大学, 教育研究開発機構, 教授 (00283656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 周二 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (00599706)
森 朋子 桐蔭横浜大学, 教育研究開発機構, 教授 (50397767)
紺田 広明 福岡大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60734077)
山田 嘉徳 大阪産業大学, 全学教育機構, 准教授 (60743169)
三保 紀裕 京都先端科学大学, 経済経営学部, 准教授 (80604743)
溝口 侑 桐蔭横浜大学, 教育研究開発機構, 講師 (40909165)
武田 佳子 桐蔭横浜大学, 教育研究開発機構, 准教授 (50880259)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高校版IR / トランジション / カリキュラムアセスメント / スクール・ミッション / スクール・ポリシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高等学校段階におけるIRの開発と推進を準備するものである。その目的は、学習が変わる社会に向けた高校教育、 高大接続に向けたものとなっているか、さらには生徒の(将来の)仕事・社会への移行を促すものとなっているか、すなわち「トランジションを実現する学習(以下、TBL:Transition-Based Learning)」のあり方を検討することにある。具体的には、5つのモデル校を中心に、1.卒業生調査を含む高校IR(Institutional Research)の手法の開発および推進、2.その調査結果をカリキュラムアセスメントとし、改善と連動するPDCAサイクルの構築、3.カリキュラムアセスメントの導入を全国的に推進するため、1.と2.のアセスメント手法に関する手法を取りまとめ、一般化に努める。この3つのフェーズで高大接続のトランジションリレーを研究的・実践的に提言するものである。 本研究の目的は、高校教育での学習が、 変わる社会に向けた教育、 高大接続に向けたものへと転換されているか、 さらには仕事・社会への移行を促すものとなっているか、 そのような意味での「トランジションを実現する学習(TBL)となっているかを、 カリキュラムレベルでアセスメントすることを第1の目的とする。そして、 アセスメントの結果をフィードバックし、 授業やカリキュラムを改善するPDCAサイクルのポイントを抽出し、 広くその手法を全国の高校教育の現場に還元することを第2の目的とする。 2021年度は、2020年度より開始した高校版IRセミナーの開催、教材の作成・配信、パイロット校への研修・カウンセリングを継続して実施した。各校からヒアリングした課題をもとに、多くの高校へ対象を拡大できるようカリキュラムアセスメントとしての高校IRの手法の開発と推進を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度より、モデル校として以下のパイロット校にカウンセリングを行ってきた。パイロット校は以下の7校である。①大手前高松中学・高等学校(香川県)、②金城学院中学校・高等学校(愛知県)、③東京都立富士高等学校・附属中学校、④富士市立高等学校(静岡県)、⑤山形県立東桜学館中学校・高等学校、⑥品川女学院(東京都)、⑦山形県立坂下高等学校(2022年度より会津星陵高校へと改称)。 2020年度で報告したとおり、本研究事業は当初卒業生調査を実施して、高等学校での学びが大学進学後にどのように影響を及ぼすかという「TBL(Transition-Based Learning)」の実践的・技術的手法を開発することを目的としていた。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大のため、全国の高校の通常の授業やカリキュラム自体が停止、遅延し、とても本課題に対して取り組む余裕は現実的にないという状況となった。また、これも研究当初では予想していなかったことだが、同じ時期に『令和の日本型学校教育』の答申(2021年1月)が中教審から出されて、学校教育目標を起点とするPDCAサイクル、すなわちスクール・ミッション、スクール・ポリシー、それに対するカリキュラム・マネジメント、データ・エビデンスの活用(本事業でいうところの高校版 IR)の実践的示唆が出された。これによって本事業は、スクール・ミッション、スクール・ポリシー、それに対する教学マネジメント、高校版 IRに研究・実践対象を柔軟に修正し、取り組むこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度もパイロット校への研修・カウンセリングを継続しつつ、スクール・ミッション、スクール・ポリシーをもとにしたカリキュラム・マネジメント、IR実践に向けた手法や取り組みのガイドブックをより洗練したものに仕上げていく予定である。 最終年度を迎えた本年度では、以上のガイドブック作成にあわせて、それを次の研究事業へと繋げるために、全国の高校約5100校を対象にスクール・ミッション、スクール・ポリシー、高校版IR等の状況をアンケートによって調査を行い、現状の達成や問題点を明らかにする予定である。 上述したように、この2年間は新型コロナウィルスの感染拡大のため、通常の学校の授業やカリキュラム自体が停止、遅延して、高校はとても本研究課題に対して取り組む余裕はなかったと言える。しかし、2021年に『令和の日本型学校教育』の答申が出され、2022年度から新学習指導要領が施行され、そして授業やカリキュラムがこれまでの通常に近い形に復旧して運営されるようになった今、上記のアンケート調査の結果を踏まえて本課題の取り組みが進む高校の実践的力学やPDCAサイクルの回し方などを明らかにして、次の研究に繋げていくことが急務である。とくに学校のガバナンスとしての校長、管理職のリーダーシップやスクール・ミッション、スクール・ポリシーを起点とする組織マネジメント体制を明らかにしていくことは、具体的な課題として考えているものである。
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