2020 Fiscal Year Annual Research Report
Group dynamics research on team processes to foster member's proactivities.
Project/Area Number |
19H01749
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 裕幸 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50243449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
縄田 健悟 福岡大学, 人文学部, 准教授 (30631361)
池田 浩 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (80454700)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チーム・プロセス / プロアクティビティ / チーム力開発 / チームマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画の2年目となる令和2(2020)年度は、チームで職務に取り組む企業組織の現場をフィールドに、チーム活動を長期間に渡って追跡し行動観察、インタビュー、質問紙調査を行って実証研究活動を実践した。新型コロナウイルスが社会に蔓延する中で組織現場における研究協力態勢が一時停滞して、半年ほどの遅れが生じてしまったが、その期間にオンラインによるチーム・コミュニケーションが組織現場に急速に浸透することで生じるチーム活動の特徴を分析・検討して、組織のリアリティに適応した実証研究及び研究成果発表の方法を模索する取り組みを進めた。 具体的には、年度初めより研究協力を取り付けてあった企業の製品・技術開発に取り組むチームを研究対象として、前年度に引き続きチームワーク、成員間コミュニケーション、管理者のリーダーシップ行動、チームの心理的安全性等の変数を測定しながら、定例チーム・ダイアローグ活動、管理者と成員のワン・オン・ワン・ミーティング、感謝ミーティング、他組織との交流等のチーム・イベントの施策を実施していった。この取り組みについては、年度当初より、新型コロナウイルス蔓延の影響で研究協力を取り付けてある企業において、たびたびチーム活動自体が停止状態に陥る事態に直面した。併せて、企業組織のチーム活動がオンライン・コミュニケーション主体に急速に変化したため、その実態に即して研究方法の変革と調整を実施しながら調査活動を行った。 得られた研究成果については、国内および海外の学会大会や研究集会において発表したりワークショップを開催したりして、研究知見を社会的・国際的に広めることに取り組んだ。あわせて、論文にまとめて各種学術誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響によって、研究協力組織の活動がたびたび停滞したことを受けて、組織現場における実証研究は、当初の予定よりも若干の遅れが生じた。 本研究の第1の目的はプロアクティビティの概念を明確に定義することであり、初年度の文献レビューと研究交流活動によって順調に進み、明確にした概念を測定する妥当性・信頼性の高い尺度の開発まで到達している。 第2の目的は、チーム・メンバーのプロアクティビティ獲得を促進し、さらに育成・強化する影響をもたらす組織変数を明らかにすることであり、チーム活動を行う組織現場をフィールドとする行動観察とインタビュー、質問紙調査によって実施した。本研究は、長期にわたってチームメンバーの行動や認知の変化、チームレベルの心理学的特性の変化を追跡する取り組みであるが、その途中でコロナ禍による組織活動の停滞という大きな変動要因が加わったことにより、もともと検討対象としていた組織変数に、チーム・コミュニケーションのオンライン化を加えたうえで、それら変数の相互作用関係を分析する必要が出てきた。方法論の修正ならびに研究実施スケジュールの調整を行って、企業組織との研究協力態勢を維持し、第2の目的達成に向けた取り組みを引き続き継続している状況にある。 本研究の第3の目的は、実証研究で得られる学術的知見を、組織現場の重要課題を解決するマネジメント方略の開発に生かすプリスクリプティブな取り組みに挑戦することにある。コロナ禍の影響は排除できないが、チームの育成・開発に取り組む組織現場の実務家との意見交換を通して、メンバーのプロアクティビティの促進や職場の心理的安全性の確保や管理者のセキュアベース・リーダーシップの実践に効果的に働く変数の同定等、基盤となる検討は進めることができた。この目的の達成については、3年計画の終了時点で有益な研究成果の獲得に向けて鋭意進めている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
企業組織においてチームによる職務遂行を実践している現場をフィールドとする質問紙調査、行動観察、インタビューによる実証研究は、コロナ禍の影響を受けて、パラダイムの変更と調整を行いつつ、オンライン・コミュニケーションの浸透という変数の影響も組み込みながら実証研究を進める。これと併せて、これまでチームを対象に実施してきた質問紙調査の研究結果をデータベース化して、チーム・パフォーマンスと密接に結びつく関係にある変数を同定し、プロアクティビティやチーム・コミュニケーション、対人関係、組織革新指向性、心理的安全性等の側面から、チーム力の高さを測定し、診断するシステムの開発に取り組む。本研究は、その成果を実際の組織におけるチームマネジメントの有効性向上に生かせるようにプリスクリプティブなアプローチをとるものである。チーム力の診断は、スマートフォンやタブレット型PC等のモバイル・デバイスに回答してもらって、即座に集計し、チーム状況を可視化してフィードバックするツールに仕上げることを目指す。 また、研究成果の公表活動にも力を入れていく。すでに5本の論文を投稿し、学術誌に採択されているが、今後の成果も論文にまとめ、国際ジャーナル・国内学会誌に投稿する。また、理論的検討の成果についても、専門書の執筆、各種学術ジャーナルの執筆を行って、広く社会にフィードバックしていく。
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[Book] 心理学概論2020
Author(s)
山口 裕幸、中村 奈良江
Total Pages
304
Publisher
サイエンス社
ISBN
4781914802
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