2019 Fiscal Year Annual Research Report
Building the groundwork for social psychology: Meta-analyses of unpublished studies in Japan and direct replications
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19H01750
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平石 界 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (50343108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 麻子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30273569)
樋口 匡貴 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (60352093)
藤島 喜嗣 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (80349125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会心理学 / 再現性 / メタ分析 / 直接的追試 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本心理学会、日本社会心理学会の年次大会ごとに作成される大会報告論文集のメタ分析を行うためのコーディングの準備を進めた。統計的メタ分析を行うために必要とされる統計量の記述された報告が十分に揃っている分野を特定するために、まず、学会報告においてどの程度の統計量が報告されているか調査(プレコーディング)を進めた。研究メンバーによる複数回の試験的プレコーディングを行い、さらに研究補助者2名による試験的なプレコーディングを経て、2013年ならびに2018年の日本心理学会および日本社会心理学会の大会発表論文を対象としたプレコーディングを開始した。 直接的追試研究を進めた。Nairne (2008)の適応的記憶について、被験者内デザインでの追試実験を4研究室合同で実施しネガティブな結果を得た。配偶者選好における性差(Buss, 1989など)について事前審査つきの追試研究を実施した(平石ら, 2019)。協力行動におよぼす環境的宗教プライミングの影響について,Pichon, Boccato, Saroglou (2007) の概念的追試を行い日本社会心理学会にて発表した(樋口・吉野, 2019)。本研究に先立つ科研費プロジェクト(15K13122)により進められてきた直接的追試研究も含め、国際学会にて報告した(Hiraishi, Higuchi, Fujishima, and Mirua, 2019)。 その他、日本社会心理学会第60回大会(立正大学品川キャンパス)における自主企画ワークショップの開催、第3回犬山認知行動研究会の共催の他、心理学評論62巻3号における事前登録・事前審査による追試特集号の編集に関わった(三浦, 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトの柱のうち、学会大会発表論文集のメタ分析のためには、十分な統計情報が報告・蓄積されている分野の特定が必須である。2019年度の研究によって、大会発表論文における記述が報告ごとに大きな違いがあり、定量的な評価を行うのは容易でないことが明らかとなってきた。この問題の解決に大幅に時間を費やしたが、研究補助者の尽力もあり、年度内に問題を解決し実際のコーディングに取りかかれたことは大きな成果であった。直接的追試については、日本国内では恐らく初めてとなる、事前登録・事前審査による直接的追試に関して、本プロジェクトのメンバーから編集者側(三浦)ならびに執筆者側(平石)として関わった。その際には論文のプレプリント公開、データおよび分析スクリプトの公開も行った。再現可能性問題の解決には、従来の研究慣習の見直しが求められており、そこには雑誌の編集方針、論文の査読基準の見直し、オープンサイエンスへの対応も含まれる。そのための有益な経験を得ることができた。また直接的追試にかんして、科研プロジェクトメンバーの4研究室合同での実験室実験を実施した他に、各研究室ごとの独自の追試研究も進行中である。以上を踏まえ、概ね順調に進行していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)2019年度に定めたコーディング基準に則り、日本社会心理学会ならびに日本心理学会の大会論文で報告されている統計量を調査する。すなわち、統計的メタ分析に利用できる統計情報(統計手法、平均値、標準偏差、t値など)が、各論文でどれほど報告されているか調査する。並行して、大会発表論文の計量的テキスト分析を行い、各論文のカテゴリー分けを行う。二つの方向を掛け合わせることで、知見の蓄積が豊富で、かつ質も高い研究テーマを明らかにする。その上で、既存のメタ分析や追試結果、当該分野の専門家との意見交換を踏まえて、本研究でメタ分析を実施する対象テーマを選別し、統計的メタ分析のための研究計画を設定する。また、大会発表全体における公刊バイアスの有無を確認し、短報として出版することを目指す。 2)本研究に先立つ科研費プロジェクト(15K13122)により進められてきた直接的追試研究について、追加実験ならびに論文発表を進める。具体的には適応的記憶、宗教プライミング、家族関係の進化心理学などにかんする追試を、Japanese Psychological Research, Evolutionary Psychologyなどの雑誌に投稿する予定である。
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Research Products
(9 results)