2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism and role of emotion regulation in end of life.
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19H01755
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20402985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸治 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20584022)
塩崎 麻里子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (40557948)
原田 和弘 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50707875)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感情調整 / 高齢者 / 加齢 / 認知機能 / 自伝的記憶 / 遺伝 / 孤独感 |
Outline of Annual Research Achievements |
感情調整機能は,自立した生活が困難となる人生の最終段階である約10年間(エンド・オブ・ライフ)の心理的安寧や生活の質(QOL)を左右する最も重要な機能の一つである。身体的,認知的機能の多くは加齢とともに低下するが,感情のコントロールを担う感情調整機能は加齢による低下がみられずむしろ向上する。 高齢期の感情調整機能は低下しないのか?を明らかにするための実験と,感情調整機能が人間関係の喪失,社会的役割の喪失,健康の喪失にどのように影響するのか?を明らかにするための調査を実施した。 実験では,65歳以上の高齢者100名(平均年齢71.74歳, SD=3.85)を対象とし,感情調整機能の測定,認知機能の検査(WAIS -Ⅳ),処理される情報の質の評価として自伝的記憶課題,遺伝子解析のための唾液のサンプリングを行った。その結果,感情調整と種々の認知機能検査結果との間に関連性は認められなかった。一方で,普段の生活の中でよく想起される記憶の感情価,重要度,鮮明度といった指標と感情調整には関連性が認められた。これらの結果は,認知機能のパフォーマンスではなく,どのような情報を思い出し処理するかといった情報の質が感情調整と関連していることを示唆している。 調査では, 20-70代の936名を対象とし,感情調整,社会的つながり,孤独感の測定を実施した。その結果,男性よりも女性の方が感情調整を頻繁におこなうこと,社会的つながりが多い人は感情調整の頻度が高いこと,感情調整をおこなうことで孤独感が低下すること,加齢に伴い感情調整の頻度は低下をすることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度始めに予定した通り,実験と調査を実行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度採取した研究協力者の唾液から遺伝データを採取し解析をおこなう。また,昨年度の実験参加者を対象とし縦断的にデータを収集するとともに,新たな実験参加者を募集し,サンプルサイズを増やすことでデータの信頼性を高める。
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Research Products
(7 results)