2019 Fiscal Year Annual Research Report
「幸福感」の向上を目指したポジティブ感情の機能の解明と一次予防アプローチ法の確立
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19H01766
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大竹 恵子 関西学院大学, 文学部, 教授 (70405893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 順一 関西学院大学, 文学部, 教授 (80211845)
小林 正法 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (60723773)
真田 原行 関西学院大学, 文学部, 研究員 (40734041)
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
福島 宏器 関西大学, 社会学部, 教授 (50611331)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポジティブ感情 / 感情の機能 / 幸福感 / 心身の機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ポジティブ感情の機能に着目して、実験や調査による基礎研究から得られる基礎的知見を健康に対する予防行動や主観的幸福感が持続できるための仕組みの理解と心身の健康増進の実現に応用し、一次予防におけるアプローチ法の確立を目指している。2019年度は、これまでの研究知見を展開させ、ポジティブ感情喚起手法および評価法について検討し、ポジティブ感情が基礎的認知機能や対人認知機能に及ぼす効果について実験を行った。感情喚起の手法の開発と評価法の検討については、多種多様な生理指標を網羅的に計測・評価し、ポジティブ感情喚起を個人特性や直前の状態と関連づけて潜在的かつ時間分解能の高い評価についても実験的検討を行った。ポジティブ感情の機能の検討については、注意や記憶等の基礎的な認知レベルに加えて対人認知に関わる実験を行い、幸福感との関連で注目されている感謝や向社会的行動の発現についても検討を試みた。また、本共同研究を効果的に進めるために、科研費研究メンバーで会合を開催し、ポジティブ感情の定義や機能に関する理論的背景と研究知見について共通理解を深め、各自の研究成果報告を通して今後の研究課題についても議論を行った。各自の研究テーマには、ポジティブ感情の中でも畏敬(awe)と呼ばれる感情のVR喚起実験や内受容感覚とアレキシサイミア傾向との関連など、生理心理学的基礎実験から健康臨床心理学的応用研究までさまざまな内容があり、これらを共同研究として融合させ、今後展開させたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、先の研究実績の概要でも記載したように、感情喚起の手法の開発と評価法の検討、ポジティブ感情の機能の検討、および科研費研究メンバーでの会合を行い、来年度以降の共同研究に向けての議論も行ったことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を受けて、引き続き、2020年度は、ポジティブ感情喚起手法の開発と多面的な評価法を確立し、これに基づきポジティブ感情が基礎的認知機能や対人認知機能に及ぼす効果について検討する。感情喚起の手法の開発と評価法の検討については、感情状態の評価とその維持を可能にする手法の確立を目指し、研究統括の大竹を中心に、片山と真田が生理指標を測定し、小林が自己評価との整合性を検討しながら進める。ポジティブ感情の機能の検討については、ポジティブ感情が個人レベルでの認知機能に及ぼす影響や、個人の行動/行為に与える影響も含めてメカニズムの解明を目指す。また、ポジティブ感情単体だけではなく、ポジティブ感情とネガティブ感情が同時に生起する複合感情(例えばノスタルジアや畏敬など)、ネガティブ感情後のポジティブ感情による回復効果といった感情状態と心身の状態の変化についても検討を予定しており、これらは、研究統括の大竹と小林、真田が実験を行う。さらに、ポジティブ感情特性の評価指標としてレジリエンスやストレングス、失感情症と呼ばれるアレキシサイミア傾向、さらに自他の感情の認識(識別)や心身の健康に寄与すると指摘されている内受容感覚の正確性などを取り上げ、感情に関する個人特性と感情状態との関連、および各ポジティブ感情状態における状態、認知、行為の変化、さらにはポジティブ、ネガティブな状態および特性の複雑な関係性についても検討する。これらの研究は、研究統括の大竹と津田、福島とで協議しながら実践への応用展開も視野に入れた検討を試みる。
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Research Products
(12 results)