2019 Fiscal Year Annual Research Report
New Development of Iwasawa theory
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19H01783
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栗原 将人 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40211221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 保 京都大学, 理学研究科, 教授 (20211716)
藤井 俊 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (20386618)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 岩澤理論 / 楕円曲線 / 同変岩澤理論 / イデアル類群 / ゼータ元 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、主に同変岩澤主予想とゼータ元について研究を行った。 ゼータ元に関しては、King’s College LondonのD. Burns教授と大阪市大の佐野昂迪准教授と共に、楕円曲線のガロアコホモロジーの中のゼータ元についての共同研究を行った。楕円曲線の L 関数の位数が 2 以上のときにも、円分体上のゼータ元が有理数体上の楕円曲線の数論的情報や L 関数の先頭項についての情報を持っていることについて、正確な予想を構成することに成功した。この予想はゼータ元についての新しい性質である。L 関数の位数が 1 のときは、この予想はPerrin-Riou予想と一致することを証明した。また、この予想は有名なMazur Tate予想を導くことを証明した。以上のことを用いて、L 関数の位数が 1 のとき、ある種の条件の下にMazur Tate予想を証明することができた。 ミュンヘン防衛大のC. Greither教授と慶應義塾大学の片岡武典氏と共に、総実代数体のAbel拡大K/kで円分Zp拡大を含むものの上の、pでしか分岐しない岩澤加群の共同研究を行った。K/kで分岐する素点の外不分岐な岩澤加群については、Greither氏および時尾氏との共同研究でそのFittingイデアルが完全にわかっていたのだが、pでしか分岐を許さない岩澤加群に対しては、片岡氏によるシフトの理論をはじめ、さまざまな新しい道具が必要であった。K/kのGalois群が特別な場合には、完全にFittingイデアルを記述することができた。 pで超特異還元を持つ楕円曲線の円分Zp拡大の中間体上のSelmer群のFittingイデアルについて、KIASのChan-Ho Kim氏と共同研究を行い、その成果がInternational Mathematics Research Notices誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
加藤和也氏によるゼータ元は約30年程前に構成された元であるが、D. Burns教授と佐野教授との共同研究で、上に述べたような新しい性質を持つことを発見したことは、今後の理論の発展に重要な役割を果たすと思われる。このような新しい展開があり、研究は当初の予定より、かなり進んでいる。 Greither教授と片岡氏との共同研究では、数年前には手がつけられなかった、pでしか分岐しない岩澤加群を扱うことが、片岡シフトという新しい概念を用いることによって可能になった。双対性により、この加群の様子がわかると、CM体のイデアル類群、CM体の円分Zp拡大上の不分岐岩澤加群の様子がわかる。これからのさらなる発展が期待できる研究であると考えており、研究は当初の予定よりかなり進んでいる。 同変岩澤理論についても、代数的な対象を適切な複体を用いて表すなど、新しい展開が見えてきており、研究は進んでいる。また、今後の研究の展開についても、次に述べるように、多くの新しい展開が見えてきている。以上のことから、全体として、当初の計画以上に、この研究は進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
D. Burns教授と佐野教授とのゼータ元に関する共同研究、およびGreither教授と片岡氏との同変岩澤理論についての共同研究をさらに発展させる。前者については、保形形式の族に関して研究することが重要になってくるので、その方向に研究を推進する。後者については、総実代数体の拡大がもう少し一般の場合にも、片岡シフトを具体的に計算することにより、p分岐岩澤加群のFittingイデアルを具体的に記述する研究を行う。 イデアル類群とゼータ関数の特殊値を考えるときに、今までの研究ではイデアル類群をS-イデアル類群に変更するなど、加群の方を修正する、というのが普通であった。しかし、fundamental classを使うことなどにより、修正のないイデアル類群を使えることがわかってきている(特にCM拡大のとき)。この方法をCM拡大でない場合にも拡張する研究を行う。 一般Greenberg予想の研究に関して、新しい可換環論的な考え方を導入して、不分岐岩澤加群の様子を単に擬零というだけでない、もっと詳しい環論的性質を探る研究にも着手し、この研究を推進していく。
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Research Products
(11 results)