2019 Fiscal Year Annual Research Report
Limit theorems for diffusions, Levy processes and their variants with their applications
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19H01791
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 孝次 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80467646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 和俊 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50554937)
矢野 裕子 京都産業大学, 理学部, 教授 (10337462)
林 正史 琉球大学, 理学部, 准教授 (90532549)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 確率過程論 / 極限定理 / 拡散過程 / レヴィ過程 / 周遊理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般化逆正弦法則の発展的問題として,秋元(東京理科大学)および当時院生の世良と院生の山戸と共同で,エイジングの問題に取り組み始めた.原点出発の歪ベッセル過程について,原点から観測した滞在時間分布はランペルティ分布に従うが,観測開始時間を正に変えたときどのような影響が現れるかを調べるのがエイジングの問題である.ブラウン運動および歪ベッセル過程に対し,二通りの方法で詳しく調べ,理論物理的視点でまとめた結果を学術雑誌に投稿し掲載に至った. 作用発展に対する情報系分解問題について,伊藤(京都産業大学)および世良と共同で,有限集合上のランダム写像反復モデルに対して一般的な結果をまとめた.有限半群のRees分解およびその上の確率測度の畳み込み積に関する理論を用い,畳み込み積の集積点に当たる確率測度の畳み込み積分解を用いることで,作用発展の情報系を,駆動ノイズ,無限過去ノイズ,第三ノイズに分解する公式を得ることができた.この結果は学術雑誌に投稿中である. 一次元レヴィ過程に対するランダム時計を用いた局所時間処罰問題の研究を,院生の武田と共同で着手した.定数時計を用いた先行研究があり,一次元安定過程に限った処罰問題の結果の他に,対称の場合は一般,非対称の場合は強い仮定を置いて減点死滅過程の調和関数の研究があり,それを用いた原点を避ける条件付けの結果が知られている.本研究では,非対称の減点死滅過程の調和関数を弱い仮定の下で調べるとともに,ランダム時計を用いた局所時間処罰問題を調べ,興味深い結果を得てきている. 集合値マルチンゲールの確率積分表示の可能性について,Zhangと共同で,否定的な結果を得た.集合値マルチンゲールは興味深い研究対象と思われるが,実数値の場合と異なり集合値過程の確率積分は好ましい性質を持っていないようである.この結果は学術雑誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般化逆正弦法則の研究発展として,エイジングの問題の研究が進んだ.作用発展に対する情報系分解問題の研究が進んだ.一次元レヴィ過程に対するランダム時計を用いた局所時間処罰問題の研究に着手し,結果が出始めている.集合値マルチンゲールの確率積分表示についての結果を得た.以上のことから,本研究は順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
一般化逆正弦法則のエイジングの問題に関して,秋元,世良,山戸と共同で,研究を進める.歪ベッセル過程に対するエイジングの数学的側面についての厳密な解析をまとめるとともに,安定過程に対するエイジングについても研究する. 作用発展に対する情報系分解問題について,伊藤および世良と共同で,研究を進める.有限状態空間の結果をさらに発展させ,無限状態空間の場合を研究する.その技術的困難は,位相半群論におけるエリスの定理をポーランド空間に拡張する結果を利用することで,克服できそうである. 一次元レヴィ過程に対するランダム時計を用いた処罰問題の研究を,院生の武田と共同で進める.局所時間の研究について,分かってきたことからさらに研究を進め,論文にまとめる.また,最大値処罰問題およびカッツ消滅処罰問題についても取り組みたい.
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